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京都の観光公害を報じた恥ずかしいテレビ番組 [京都生活]

ラーメン屋に入って、ラーメンを啜っていたら、店内のテレビで京都の観光公害の特集をやっていた。Goodyというフジテレビ系のニュース番組である。ここでは、京都に来る外国人観光客のマナーが悪くて問題であるということを話題として取り上げていた。京都に生活する私としても興味のある問題なので、ラーメンを食べつつ番組を見ていると、なんと、テレビ取材者が花見小路の人混みに溢れた道に報道車で入っていき、人々がどかないことに何てマナーが悪いんだ、と呆れていた。私はこれを見て、人に溢れている花見小路に自動車で入っていくテレビ局の方によほど呆れた。いや、花見小路に自動車で入るな、とは言わないが、悪いがそこで生活している人以外は入って欲しくない。そもそも、京都の魅力は1000年以上も都市としての歴史が積み重ねられたことにあるので、その900年以上は自動車とは無縁であった。京都の都市としての魅力を最も破壊しているのは自動車であるな、と考えている私としては、そもそも京都ナンバー以外の自動車が入ってくるのは迷惑千万である。いや、観光客も多少、迷惑かもしれないが、車で京都の人混み溢れる道路(しかも花見小路)に突っ込んでくるテレビ局の方がよほど迷惑だから。
 もし、この私の意見が納得できなかったら、休日に下北沢の南一番商店街を車で走られたらいいと思う。ここも法律的には自動車が走行できるが、悪いけど誰もどかないよ。というか、入ってきたあんたが迷惑だと思われて顰蹙を買うだけだ。たまに、車が入り込み、大顰蹙を買うときがあるが、大抵、尾張小牧とか郡山などのナンバーである。同じことを鎌倉の小町通りでやったって誰もどかない。こういう歩行者が主人公のような空間をプレシデント・プレシンクトと言うが、京都は特に日本の都市では、法律的には自動車が通れるけど実質的には歩行者がよりコントロールしている道路空間が多くて、これだから京都は魅力があるのだ。
 他にも、この番組の偽善性は本当に鼻につき、観光客が提灯を頭の上にちょこんと載せた写真を撮っていることや、禁煙ゾーンでたばこを吸っていることなどを一つ一つ指摘して、注意をするのだ。確かにそれらの行為は褒められたものでは決してない。しかし、日本人観光客がヨーロッパのレストランでスパゲッティをずずずっとラーメンのように啜って食べていることは、皆、白い目で見ている。私は直接、ドイツ人の友人に、あのようになぜ日本人は食べるのだ、ヨーロッパではマナー的に許されないことなのに、と言われたこともあるので、皆、日本人のこの食べ方に密かに嫌悪感を持っていることをよく知っている。私もヨーロッパに日本人と同行して行き、レストランに入るときは祈るような気持ちでスパゲッティやスープ(スープは基本的に口に入れ込むもので啜って飲むものではない)を注文しないでくれ、と思うが、実際、注文して、周りから白い目で見られたりしている時も、一切、その点を本人には注意しない。それは、他国のマナーを強要すること自体がちょっと偉ぶっていると思われるからだ。また、日本人のスモーカーも平気で禁煙スポットで喫煙していたりするが確信犯であることはほとんどなく、注意をされると照れ笑いをしたりする。この番組では、禁煙ですよ、と指摘されて照れ笑いをして「知らなかった、ごめんなさい」と回答した中国人観光客に対して、「反省の色が見えない」などとテロップで流していたが、こういう恥ずかしい、偽善的な番組を作成しているフジテレビの方がよほど恥ずかしいし、反省してもらいたい。なんか、調子がいいときだけ「おもてなし」とか言ったりするが、まったく「おもてなし」精神がないこの番組づくりに日本人として恥ずかしくなった。
 他人の振り見て、我が振り直せ。私は8年間、海外で暮らしていたが、同朋として日本人観光客の破廉恥な行為を見て見ぬふりをしてきた。それは、海外の文脈で理解することはなかなか難しいということがあるからだ。できれば失敗や顰蹙を買った時などは反省してもらえればと思うが、毎回、来る観光客は違う。ただ「旅の恥はかき捨て」文化の日本が自分達がやっていることは棚に上げて、外国人を批判するような番組を上目視線でつくるというその根性を私は恥ずかしいと思う。

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『ティール組織』 [書評]

フレデリック・ラルーの『ティール組織』(原題はReinventing Organizations)を読む。これは、人類の組織の発達段階は、現在「進化型(ティール)」という新しいモデルを提示するまで進化しているという仮説のもと、実際、この「ティール型」の企業・組織などの事例を紹介し、その特徴、さらにはそのような組織の作り方までも提案している。上記の観点で、同書は3つの部から構成される。「歴史と進化」、「進化型組織の構造、慣行、文化」、「進化型組織を創造する」である。訳本でも500ページに及ぶ大作であるが、この『ティール組織』というモデルが新たに出現しており、それを実際、応用している組織があるというのは非常に興味深い。そして、このような組織が出現した背景には、成長の限界、地球資源の有限性、さらには組織管理の非人間化などがあるということだ。あまり明るい未来が展望しにくい現代人であるが、このような持続可能な組織モデルが創造され、量的ではない質的な豊かさに価値観が転換することで、人類はまだまだ滅亡しなくてもいいかもしれない、という楽観的な展望を抱くこともできる。
 私が働いている職場は、結構、ティール組織的なところがあり、それはホールネス(全体性)、自主経営、存在目的というブレイクスルーをそこそこクリアしていると思われる。全体性は自分の価値観と職場の価値観とにズレがないことである。これは、採用するうえで、組織の価値観と合う、もしくは合わせられる人を採るように留意しているからだと思う。あと自主経営は、大学の学部運営というのが本質的に具えている特徴であり、それをしっかりと私が所属している学部は維持している。これは、前任校とは随分と対照的である。なぜなら、前任校は学部長が独裁政治を遂行し、反対意見を力尽くで押さえるようなことをしていたからだ。そして、存在目的だが、これは組織のコンセプトを「チーム政策」と掲げ、しっかりとした大学教育を施すために、教員・職員だけでなく学生をもチームとして捉えて、その目的の遂行に邁進している。これが、結果的に学生の満足率82%に繋がっているかと思われる(前任校は26%であった)。私が経験した二つの大学の組織を比較すると、現在の職場は『ティール組織』的な条件を相当、クリアしている。それが、おそらく現在の職場がうまくいっている大きな理由の一つではないかと思ったりもする。この点に関しては、また研究をしていきたいと思っている。たいへん、興味深い視座を提供してくれた本である。

ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現

ティール組織――マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現

  • 作者: フレデリック・ラルー
  • 出版社/メーカー: 英治出版
  • 発売日: 2018/01/24
  • メディア: 単行本



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エリック・クラプトンを3年ぶりに武道館で観る [クラプトン]

一週間前になってしまうが4月15日の武道館にクラプトンを観に行った。月曜日であるのだが満席。凄まじい熱気だ。クラプトン、こんなに人気があったかなあ、とちょっと不思議な気分になる。3年前のクラプトンの武道館コンサートより、こう人々の熱が高いような気がするのだ。いや、気のせいかもしれないが。コンサートはPretendingから始まり、3年前と同じように前半でKey to the Highway, I am Your Hoochie Coochie Man, I shot the Sheriff, Nobody Knows You When You’re Down and Out などを演奏する。違うのは、Make Love to You, Driftin’ Blues を演奏したことぐらいだ。しかし、後半は前回、演奏しなかったTears in Heaven, Layla (Unplugged Version)というクラプトンの代表曲を披露してくれたこと。さらには、Running on Faithも演奏してくれた。また、クリーム時代の超名曲であるBadgeさらにはCrossroads も演奏した。Crossroadsのギターソロは、昔のような神がかったプレイではなかったが、それでも心は揺さぶられた。そして、Wonderful Tonight, Little Queen of Spadesという3年前と同じ選曲で、アンコール前にCocaine、アンコール曲にHigh Time We Wentも同じであった。ということで、それほど目新しい訳ではなかったが、Badgeを久しぶりに生で聴くことができたのは素晴らしかった。聴力のダメージを受けているとの噂も耳にしたが、まったくそのようなそぶりも見せず、とても74歳とは思わせない表現力には感銘を覚える。貫禄溢れるコンサートで、非常に安心して聴くことができた。
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トランプの難民排除の発言に拍手を送るユダヤ人は自分達がなぜアメリカにいるのか、忘れたのであろうか [トランプのアメリカ]

トランプ大統領が「アメリカ合衆国はもう満杯なので、難民も受け入れられない」と主張している。これは、ツィッターでも発言しているが、なんと共和党のユダヤ人のグループを対象とした講演でも、最近、同じ発言をした。これは、ナチでの迫害でヨーロッパからアメリカに難民として移住してきた多くのユダヤ人に対しては、随分と失礼というか無遠慮な発言である。ところが、なんとこの発言に対して共和党のユダヤ人(元)移民は拍手をしているのである。なんて愚かな。忘恩にもほどがある。まあ、食べ物がなく命を助けてくれたアメリカ・インディアンを平気で虐殺するような歴史のもとにつくられた国であることは分かるが、それにしても、自分達が難民に対して寛容であったアメリカのお陰で、現在、この世に生まれた人も多いだろうに、なぜ、そういうことに頭が回らないのであろうか。ほんの70年ぐらい前の話であるのに。このことをレイトショーのスティーブン・コベールが痛烈に批判している(3分ぐらいのところに、共和党ユダヤ人相手にこの発言をトランプをしているところが見られる)。
https://www.youtube.com/watch?v=Te0b5KgUyzc

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リンゴ・スターのコンサートに行く [ロック音楽]

リンゴ・スター&ザ・オールスターズのコンサートを観に東京ドームシティ・ホールにまで行く。さて、そんなに期待しないで行ったのだが、これが予想外によかった。私は、サポート・メンバーもろくに調べなかったのだが、蓋を開けてみたら、キーボードがサンタナ・ジャーニーズのグレッグ・ローリー、ギターはトトのスティーブ・ルカサーとメン・アット・ワークのコリン・ヘイ、そしてベースがアヴェレージ・ホワイト・バンドのヘイミッシュ・スチュワート、さらにサックスにウォーレン・ハム、ドラムスにグレッグ・ビソネットが入っている。ローリー、ルカサー、ヘイ、スチュワートはまさに、それらのバンドだけでも来日公演をできるだけの実績と人気を博している。ということで、リンゴ・スターのザ・オールスターズは、リンゴの名字に引っ掛けただけでなく、本当にオールスターズであったのである。そして、これら4人は、それぞれ平等に自分達のバンドでの看板曲を3曲ほど演奏していた。興味深いことにローリーはサンタナの曲はまったく演奏せずに、サンタナの曲を3曲ほど演奏した。これら4つのバンドの中では、私は圧倒的にアヴェレージ・ホワイト・バンドの演奏が楽しめた。「Pick Up the Pieces」、「Cut the Cake」、「Work to Do」の3曲を演奏したのだが、まさか今日、これらの曲の生演奏を聴けると思えなかったので嬉しい驚きであった。
 あと、トトの曲はロザンナ、アフリカといったジェフ・ポーカロの超テクドラム演奏の曲であったのが、果たしてリンゴがこれらを弾けるのか、余計なお世話的心配をしていたが、リンゴ・スター、ドラムが上手い。とても78歳のパフォーマンスとは思えない。
 そして、これら4人のネタ曲の16曲もよかったが、やはり、真打ちのリンゴ・スターの「イエロー・サブマリン」、「フォトグラフ」、「イット・ドント・カム・イージー」、「ウィス・ア・ヘルプ・フロム・マイ・フレンド」がハイライトであった。
 年齢を考えると次回がある可能性はそれほど高くはないが、また機会があれば観に行きたいと思わせる良質なコンサートであった。

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