岡部明子『バルセロナ』 [書評]
著者は東京大学の教授であるが、それ以前、磯崎新建築事務所の番頭として、バルセロナで10年間ほど働いただけあって、単にアカデミックな視点で丁寧にバルセロナを描写しただけでなく、生活者としての視点からもバルセロナを捉えており、バルセロナという世界でも最も魅力溢れる都市の特徴を時間軸、空間軸から見事に整理している。バルセロナのこれまでの歩みを理解できるだけでなく、なぜ、ここまで魅力を放つことに成功したのか、その背景を知ることができる素場らしい著書である。都市の語り部としての著者の力量の凄さが滲み出ている力作である。
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