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甲斐駒ヶ岳(百名山63座登頂) [日本百名山]

甲斐駒ヶ岳にチャレンジする。実は甲斐駒ヶ岳は13年前の2011年10月にチャレンジしたことがある。ちょうど登山を開始した年で、百名山的にも3座目の挑戦であった。そこで、見事に挫折する。双児山から駒津峰までのレキで太股が悲鳴を上げ、痙攣をし始め、その後、だましだまし登ったが駒津峰の先で断念したのである。その顛末は以前もこのブログに記したことがあるが、今、読み返すと、自分の山への姿勢の甘さを痛感する。この登山の失敗を機に、それ以降、タイツとストックを常備するようになる。
https://urban-diary.blog.ss-blog.jp/2011-10-13
 さて、それ以降、いつかはリベンジをしようと思っていたうちに、随分と月日が経ってしまった。40代だった自分は60代になってしまった。甲斐駒ヶ岳はアクセスに優れているのだが、どうせ行くなら仙丈ヶ岳も登りたいと考え、そうすると二泊は必須だな、ということでなかなか機会をつくれずにいたのだが、遂にその機会はやってきた。前泊したのは、前回
と同じ仙流荘である。仙流荘には夕方入り、夕食も取った。夕食は地のものを中心にコストに見合う素晴らしいものであった。ここは温泉も素晴らしく、なおかつサービスもよく、快適な一夜を過ごすことができた。ただ2時前に目が覚めてしまい、5時間ぐらいの睡眠で挑戦することになってしまったのは後で考えると失敗だった。
 朝食はおにぎりに代えてもらい、始発の6時発のバスに乗る。北沢峠に着いたのは6時50分。北沢峠にあるこもれび山荘に荷物を置いて、7時には双児山ルートを登りはじめる。朝焼けの中、針葉樹林帯の中を歩くこの登山道は本当に素晴らしい。その静謐で凜とした厳かなこの山の生態系は、自然に対して畏れにも近い感情を喚起させる。こういう経験をすると、原子力発電所を稼働しようと人は思わなくなると登りながら考えたりもした。この素晴らしい世界を壊す可能性のある危険性を伴うものを進めることの愚かさを、甲斐駒ヶ岳の針葉樹林は我々に教えてくれる。
 さて、しかし、この登山道は、なかなか傾斜はきつい。この日は3度ぐらいの気温であったのだが、身体は温まり、すぐにフリースを脱ぎ、涼しい格好で歩くことにする。13年前と同じ轍を踏まないよう、ゆっくりとした一定のペースで登っていく。たまに木々の間から見える甲斐駒ヶ岳の雄姿が気持ちを鼓舞する。また、この日は伊那盆地方面に広大な雲海が広がり、その美しい景観にも息を呑むような感動を覚える。しばらくすると森林限界を越え、周りの木々はダケカンバやナナカマドなどになる。四合目である双児山に着いたのが9時10分。まあ、ほぼコースタイム通り。ここからは、結構、下る。せっかく苦労した稼いだ高度を失うのは、地味な仕事で苦労して稼いだお金を無益に散財するような気分にさせられる。この区間は展望もあまり得られない。そして、その後に以前、私の太股が参ってしまったレキの急坂。しかし、今回はなんでこんなとこで太股が悲鳴をあげたのか分からないほど、負担を感じず登り切ることができた。年齢は重ねてしまったが、あれ以降、60座以上の百名山を登ったので、それなりに体力と登るための知恵がついてきたのかもしれない。この登山道の両脇は灌木なので、周囲の雄大な景色を楽しめるので、登山の楽しみを満喫できる。前衛峰の駒津峰に到着したのが、10時10分。ここはコースタイムより随分と時間がかかった(ほぼ2倍)。以前、ここで挫折したので慎重に登りすぎてしまったかもしれない。前回、訪れた時もそうだったが今日も素晴らしい天候で、この駒津峰からは甲斐駒ヶ岳や仙丈ヶ岳、北岳、鳳凰三山などの見事な展望を得ることができる。
 この駒津峰からはしばらく岩の稜線。私は、この岩は登りも下りも苦手である。ストックを取り外して、両手を使い、慎重に行く。チェーンやロープも結構設置されている。最近の運動不足に加え、標高が高いこと、睡眠も不足していることもあり、体力の消耗が激しく、くらくらしながらの登山となってしまった。そのため直登ルートとの分岐点に着いたのは11時。大幅な遅れである。そこから巻き道ルートを取り、砂礫の斜面をトラバースし、花崗岩の白砂の斜面をひたすら登っていく。この白砂が、遠方から甲斐駒ヶ岳をみると雪のようにみえる招待なのだな、と思いつつ、結構な急斜面はほとんど岩のぼりに近い。息を切らせながら一歩、一歩、高度を稼いでいく。山頂に着いたのは12時20分。駒津峰から山頂までのコースタイムは90分なのだが、私は130分もかかってしまった。とはいえ、前回は登ることもできなかったので這々の体ではあるが、どうにか登れたことは喜びである。また、天候は一年に数回あるかどうかの素晴らしい快晴。おそらくこの日は、ここから40以上の百名山が展望できたのではないかと思われる。
 さて、名残惜しいが、こもれび山荘に16時までに戻らなくてはならないので、そそくさと昼ご飯を食べて12時40分には帰路につく。結構、ひざのグリップ力が弱まっているので、下りが登りと同じぐらい厳しい。転ばないように気をつけながら下山したので時間がかかる。駒津峰に戻ったのが14時20分。1時間のコースタイムに1時間40分かかってしまっている。さらにそこから仙水峠へと下りる。この仙水峠ルートは1キロメートルの間に500メートルを下るという急降下な道である。足がヘロヘロになっているうえ、木の根っこと岩が足をさらうので結果、注意深くなってしまい、時間がかかる。とはいえ、途中、岩に滑り、横転。右手の岩に打つが、その際、身体を支えたストックが破損する。同行した友人のストックを借りたが、結構、体力の限界に近いような状態だ。仙水峠に着いたのは15時40分。このコースタイムも1時間だったので20分(33%)も余計にかかっている。これはもう16時にこもれび山荘に到着するのは不可能である。こもれび山荘に遅れることの電話を入れようとしたのだが繋がらないので、友人が先に宿に急ぎ、私はマイペースで降りていくこととする。この仙水峠から仙水小屋のルートは巨大な花崗岩が転がっているところを歩いていくのだが、歩きにくいことこの上ない。この岩歩きが抜けると、登山道はぐっと歩きやすくなり仙水小屋からは一部、ロープを使って降りるようなところもあるが、それほど難はなく、こもれび山荘には夕御飯開始の17時ぎりぎりに戻ることができた。
 どうにか13年前のリベンジは果たせたが、そのリベンジは結構、満身創痍にさせられた。コースタイミは7時間20分。休憩時間を入れても8時間20分ぐらいで往復することが望ましいところ10時間。今後、登山ができるのか不安を覚えさせるような山行となってしまった。

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【美しい針葉樹林帯の中を登山道は上っていく】

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【見事な雲海が展開している】

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【甲斐駒ヶ岳の見事な雄姿を見ながら高さを稼いでいく】

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【駒津峰へと続くレキの登り道】

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【駒津峰からみる甲斐駒ヶ岳】

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【駒津峰からは鎖のあるような岩場のアップダウンの繰り返し】

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【山頂手前は花崗岩の砂場の急登を上っていく】

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【山頂からの鳳凰三山の見事な展望】

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【仙丈ヶ岳の優美な姿も展望できる】

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【遠く、乗鞍岳、北アルプスの秀峰も屏風のようにみえる】

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【花崗岩の砂場は降りる時にも筋肉を疲労させる】

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【仙水峠は巨大な岩場がゴロゴロと転がっているような異様な場所である】


<双児山コース>
登山道整備度 ★★★★☆ しっかりと整備されているかと思うが、駒津峰からの岩歩きのところ、さらには山頂周辺の岩のぼりのところは、もう少し整備してもらえると有り難い。
岩場度 ★★★★☆ 駒津峰から山頂まではずっと岩場。特に駒津峰から登山ルート分岐点までの岩場は、アップダウンの不毛な繰り返しで私のように岩場が苦手な人には鬼門であろう。また、性格は異なるが山頂への花崗岩の砂場は滑りやすく、その斜度の大きさなどから決して楽ではない。
登山道ぬかるみ度 ☆☆☆☆☆ 秋晴れで天候がよかったということもあるかもしれないが、ぬかるみ度はゼロ。これは、仙水峠コースが序盤にぬかるみの道があるのとは極めて対照的である。
登山道笹度 ☆☆☆☆☆ 笹がないことは、甲斐駒ヶ岳の登山の優れたところであるかと思われる。
虫うっとうしい度 ★☆☆☆☆ 秋ということもあり、ゼロではないがほとんど気にならない。
展望度 ★★★★★ 天気がよかったということもあるが、山頂からはそれこそ40座以上の百名山が展望できるぐらいの素晴らしさ。この展望に勝る山は滅多にないのでは。
駐車場アクセス度 ★★★★★ 駐車場へのアクセスは問題はない。ただし、アプローチは遠い。
トイレ充実度 ★★☆☆☆ (コース沿いには多少ある)
下山後の温泉充実度 ★★★★☆ (仙流荘の温泉は相当、評価できる)
安全度 ★★★☆☆ 駒津峰までは難所はない。ただ、駒津峰から先は慎重さが求められる。

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