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スペインでは高齢者は働きたくても働けない [グローバルな問題]

スペインの研究者を招聘して講演会を行った。テーマは「高齢化と都市政策」といった内容のものであった。マドリッドとパリでは都心部で高齢化が進展しているという興味深い内容であった。
 さて、いろいろと興味深い内容の中で私の関心を引いたのは、フランスでもスペインでも高齢者は仕事を継続することが非常に難しいということであった。この研究者の祖母はマドリッドでベッド屋を営んでいて、その仕事に誇りと生き甲斐を覚えていた。しかし、65歳になると営業を続けるには役所に申請をしなくてはいけない。非常に営業をすることのハードルが高くなるのだ。彼女は営業許可をもらえたが結局72歳で店の経営を止めた。その後、85歳までは矍鑠としており、92歳で亡くなったそうだ。このように仕事をしたいのにさせない、というのは随分と高齢者に優しくない政策である。いや、おそらく国は、高齢者を早く「辛い」仕事から解放させて年金暮らしをさせることが、高齢者のためになると思っているのであろうが、仕事を「辛い」と捉えるのかどうかは個人の価値観によって異なる。私は日本の高齢者の方がずっと幸せだな、と思ったりした。
 それにしても、この仕事を「悪」というヨーロッパの考えは、なんかとてもつまらないなと思う自分がいる。そして、そのように仕事を「悪」と思っている人と仕事をするのもとてもつまらない。仕事を「悪」と思っているような人はバカンスを取ってもつまらないバカンスしか取れないような気がする。仕事はそもそもクリエイティブで、それは自己実現につながる極めて重要な生き甲斐であるべきだと思うし、私が知る限りでは、そのように思っている日本人の方が、少なくともドイツ人より遥かに多い。

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