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シンガポールの都市政策のメモ [都市デザイン]

シンガポールの都市整備公団のような方の講演を聴いたので、ちょっとメモ書きをここにさせてもらいたい。
 シンガポールは第三国から一等国にまで成長したが、それは偶然では決してない。その理由はしっかりとした計画と、しっかりとした統治に基づいている。1970年にリー・クアン・ユーが政権を執ったとき、彼は4つの政策指針を掲げた。「新鮮な空気」、「安全な水」、「緑
」、そして「低廉な住宅(Affordable Housing)」である。低廉な住宅は、公共住宅の割合が全住宅の8割を占めるという現状にも繋がっている。この公共住宅の割合はウィーンとほぼ同じであり、ウィーンと同様にシンガポールもほとんどジェントリフィケーション問題はみられない。ただ、残りの2割の民間住宅ではジェントリフィケーションは起きていないが、宅地価格の高騰がみられる。これら民間住宅のある地区は緑地帯に近接しているそうで、基本、裕福な人々が住んでいるそうだ。また、圧倒的な土地不足ということもあり、マリーナ地区に370ヘクタールの埋め立て地をつくるという大事業も行っている。370ヘクタールといえば、東京ドーム82個分である。
 シンガポールといえば国の歴史が浅いので、そのアイデンティティをいかに保全するかということが重要となるが、二つの包括的な保全プログラムがある。PreservationとConversationである。前者はほとんど変えずに、そのまま保全するというものでナショナル・ギャラリー・シンガポールやヴィクトリア劇場・コンサート・ホールなどの国家的に重要な建物がその対象である。後者は内装などのリフォームが可能であり、Khong Guan BuildingやThe Warehouse Hotelなどの事例がある。
 シンガポールの都市政策のポイントとしては、緑地保全がある。人口は増えているが、緑地も増えているのがシンガポールの特徴である。また、緑地の質も生物多様性などを意識した高いものを目指している。また、人々のアクセスも確保しており、ヘンダーソン・ウェイブ橋や、フォレスト・ウォーク(2008)という1.6キロメートルにも及ぶ歩道も整備されている。これらの橋からは猿などを見ることができる。
 あと、シンガポールは国のアイデンティティが希薄であることを補うかのように、デザインに力を入れており、建築のレベルは凄く高い。
 公共交通にも力を入れており、現在、286kmの鉄道ネットワークが整備されている。また、混雑マネジメントや混雑税などを導入している。
シンガポールの都市政策は非常に優れている。これは、背水の陣ということがあるとは思うが、いろいろと学ぶ点も多い。

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