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タンペレを訪れる [地球探訪記]

ヘルシンキに宿泊しているのだが、日帰りでタンペレを訪れる。朝9時の列車で11時前に到着。列車代は22ユーロぐらいなので物価の割には安い。タンペレに訪れたのは、街を分断していた線路上に人工地盤を設置して、両側を結び、その上にノキア・スタジアムというホッケーなどが観戦できるスタジアムやらオフィス・ビルやらをつくるという開発をしたからだ。これは都市計画的に随分と賢いな、と思い、私が連載している「都市の鍼治療」の事例にふさわしいと思ったからなのだが、実際、見ると、それほど感心しなかった。線路上の開発ということでアクセスを著しく改善したことの効果は大きいが、そこが機能はともかくとして、空間として人を惹きつける魅力を伴ってないからだ。勿体ないなあ。私もわざわざ来た甲斐がなく、ちょっと勿体ないことをした。絶対、滑らない事例のように思えたからだ。ここらへんは報告書やウェブサイトと実態との乖離、ということで百聞は一見にしかずではある。まあ、行ったから理解できた、ということもあるのだが。

さて、しかし、都市自体は結構、興味深かった。フィンランドの都市はトゥルクを除くと、ほとんど歴史が浅い。そもそも、国の歴史が浅い。したがって、このタンペレも19世紀後半ぐらいからしか都市の歴史がなく、ちょっとニュータウン的な雰囲気が都市全体を覆っているのである。これは札幌とか旭川とかとも似ている。タンペレは「○○のマンチェスター」と形容される都市の一つであり、19世紀半ばから繊維産業で栄える。工場はまだ操業しているところもあるが、多くは操業を中止して、工場跡地は再開発されていたりする。そのうちの一つはフィンレイーといい、随分とイギリスっぽい名前だな、と思ったら創業者はスコットランド人であった。

そういう新しい都市ということであるが、しっかりとした都市のアメニティを高める工夫を都市デザイン的に頑張っていて、なんか応援したくなる。具体的には中央駅から伸びる大通りのトランジット・モール化、ウォーターフロントの公園整備(これは結構、昔からしているかもしれない)、それに前述した工場の跡地利用である。私はフィンレイーというところを訪れた。それなりに工場の建物をうまく再生利用しており、こういうブラウン・フィールドのリデザインは、もはやアイデアレベルではなく常套手段になっているのかな、との印象も受けた。

とはいえ、こうヨーロッパの都市の時間の積み重ねが生み出す、何年も寝かせたワインのような豊穣さが空間に欠けている。これは、まあ致し方ないことだが、それをどうやって都市デザインで克服させていくか。ここらへんが政策の肝かなと思ったりする。

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