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レルネルさんと車 [都市デザイン]

クリチバ市の元市長であったレルネルさんは、いろいろと自動車について興味深い発言をされてきた。「自動車は都市のコレステロールである」、「自動車は姑のようなものだ。やっかいだが縁を切る訳にはいかず、付き合っていかなくてはならない」などである。
 さて、しかし、BRTを発明したレルネルさんが、どのような自家用車を保有していたのかは今まで尋ねることもしなかったし、彼が自家用車の話をしたことは一度もない。ただ、バスのネットワークが充実しているとはいえ、ブラジルの都市、クリチバである。さすがに自動車を保有しているだろう。ということで、今回、彼の次女のイラーニャさんと話をする機会に恵まれたので、そこらへんを知ることができた。
 レルネルさんの自家用車はアルファ・ロメオ。おお、やはり腐っても市長、州知事だ。高級車に乗っていたのだな、と思ったら、イラーニャさんが、そのニックネームは「腐敗物」(Rotten)と言うではないか。どうも、このレルネルさんのアルファ・ロメオは中古車らしくて、あまりの酷さに奥様が付けたニックネームだそうだ。アルファ・ロメオというと日本だと高級車というイメージだが、ブラジルだとそれほど有り難い車ではないのかもしれない。しかし、有機物でもない自動車なのに「腐敗物」という渾名が付けられるとは、どんな車なのか。ちょっと興味が湧く。
 ちなみに、そんな感じであるから、子供たちの車もおそろしく安い中古車しか買ってくれなかったそうだ。イラーニャさんは、お姉さんのお下がりをもらったので、もう本当に友達に見せるのが恥ずかしかったそうだ。しかし、そんなぼろ車なのに(というか、ぼろ車だからか)4回も盗難されたそうである。あまりにも盗難されるので、警察も4回目の盗難時は「まさか、また盗まれたんじゃないよな」とイラーニャさんの顔を見たら言ったそうである。さて、しかし、その話を私と一緒に聞いていたレルネルさんの市長時代に環境部長を務めた中村ひとしさんの長女のサンドラさんは「私は6回盗まれましたよ」と言ったので、またまた驚き。ちなみに中村ひとしさんも、レルネルさんも自動車は一度も盗まれていないので、盗まれ癖というのはあるかもしれない。
 サンドラさんは、一度は、友達の家に行き、自動車から降りようとしたら、自動車泥棒に銃口を頭に突きつけられて、車に戻れ、と言われたことがあるそうだ。彼女は強く拒否して抵抗し、友達のマンションの守衛が現れたすきをみて逃げ出し事なきを得たのだが(というか、その後、友達と一緒に自分の車に乗って逃走した泥棒グループを追いかけた)、なんかブラジルで生きることは日本と本当、危険度のレベルが半端ないなということを、こういうエピソードからも思い知らされる。
 まあ、話が逸れてしまったが、レルネルさんはやはり自動車をそんなに好きじゃないんだな、ということを知る。
 ちなみに、私も「自動車に乗らない贅沢」などと宣っていたが、京都に大学を移した時に生まれて初めて55歳で自動車を買った(それまでは父親が亡くなった時、彼の車を相続したりしたことはある)。ミニだ。まあ、ほとんど使わないが、バンドの練習(エフェクターが重いので)、京都と東京間で荷物を運ぶ時と、山登り、スキー(一年に一度行けるかどうかぐらいだが)では使っている。

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