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ジェフ・ベックの訃報に接し、いろいろと考えた [ロック音楽]

ジェフ・ベックが逝去された。最近まで元気でライブもしているような状況だったので、多くの人がショックを受けているようだ。そして、当然のことだが多くのギタリストが哀悼の意を表していて、史上最高のロック・ギタリストが亡くなったといった報道も多い。

さて、私も相当、下手くそでもあるがギターを弾く身ではあるのだが、このジェフ・ベックが「史上最高のロック・ギタリスト」というのにちょっとした違和感を覚えるのである。いや、違和感を覚えるという時点で、もうギタリストとして駄目なのではないか、と思う自分もあって、いろいろと彼に哀悼を評しているユーチューブなどを観たりして、ジェフ・ベックの偉大さを理解しようとしているのだが、それでもそんなにはピンと来ない。日本人の知り合いとかも、「ジェフ・ベックはこの世を去っても、いつまでも私の血と肉となって生きている」とSNSに書いていたりすると、本当にそんなに好きなのか?とちょっと疑ってしまう自分もいる。いや、ジェフ・ベックは凄い!と言っていれば、まあポリティカリー・コレクトだし、自分もヤン・ハマーとの三部作を始め、結構、CDを持っているのだが、素直に「ジェフ・ベックはロック・ギタリスト史上最高だ!」とは言えない自分がいる。

個人的に好きなギタリストは?と聴かれたら、ジョー・ウォルシュ、ビリー・ギボンズ、エリック・クラプトン、デイベッド・ギルモアと答えるし、サンタナの方がギタリストとしてはベックより好きである。ニーノ・ベッテンコートやエディ・バンヘイレン、ジョー・パス、ラリー・カールトン、アラン・ホールズワースの方が素直に馬鹿テクなような気もするし、これらのギタリストの方により惹かれる。

どうしてそんなに好きでないかというと、ベックの演奏はあまりにもユニークでギターっぽくないからかとも思う。いや、ギターっぽくないという言い方は間違っている。オーソドックスなギターっぽくないというべきであろう。流石に、彼のボリューム奏法とかアーム奏法の凄さは私でもよく分かる。とてもエモーショナルな音を出すことができて、それは大きな感銘を覚える。Cause We’ve Ended as Loversの演奏は鳥肌が立つ。ただ、一方であのファズを通したような変わった音は、ギターが出せる最高の音ではないと思ったりもする。どちらかというと、そのユニークさゆえに、正統派ではないような気もするのである。

あと楽曲の能力は前述したギタリストに比べても大きく劣る。ブロー・バイ・ブローやワイヤード、ゼア・アンド・バックの名曲群はほとんど他人の作品である。その職人気質のところが彼の素晴らしいところかもしれないが、真の音楽家としてはどうなのよ、と思わなくもない。ロック史上最高のギタリストは、これも非常にユニークではあるが、ジミ・ヘンドリックスだろうと強く思うのである。

などと殺されそうなことを書いたが、これは、やはり私がギタリストとしての才能というか感性に欠けていることの証拠かもしれないな、とも思っている。だから、いろいろと他のギタリストの意見をユーチューブで観ているのだが。ただ、それらから分かったことは、「ベックの音というものを持っている。どんなギター、リグでも自分だけの音を出すことができる希有なギタリスト」(ブライアン・メイ)というのと、「ずっと進化しているギタリスト」(ジミー・ペイジ)ということである。ロック殿堂入りした演奏で、ベックとペイジが共演するのだが、確かにベックとペイジのギターの演奏力の差は顕著であった。確かにベックの名声はどちらかというとエスケープ以降、ベテランになってからかなと思う。この亡くなるまでずっと進化をしていた、というのは彼の真の凄みなのではないだろうか。私も、ちょっと持っているベックのCDを聴いて、もう少し精進してみよう。

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