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宇都宮のライトレールの反対派のタクシー運転手と話して考える [都市デザイン]

宇都宮での飲み会の後、JR駅のそばにあるホテルまでタクシーで戻る。タクシーの運転手さんに「来年、いよいよライトレールが開通しますね」と話しかけると、「あんなものが開通して喜んでいる市民はほとんどいない」と言う。そして、畳みかけるように「船田さんも責任取らないとな」という。そこで、「船田さんって、作新学院の船田さんですか」というと、「そうですよ。作新学院までライトレールを延ばすなんて、アホなことを言っている」とだんだんエキサイトしてくる。「でも、ライトレールができるとやっぱ便利なんじゃないですか」と尋ねると、「俺は北側に住んでいるのでまったく利用しない」と答える。そして、「もっと福祉とか教育とかに税金を使うべきだ」と言う。

都市計画学会の大会では、ほとんどみんながライトレール支持派であるので、そういう反対派の市民の声を聞いたのはちょっと新鮮であった。しかし、それにしても公共交通への理解がここまで低いというのは残念である。まあ、タクシーの運転手さんなので、公共交通の利便性が高くなると仕事が減るかもしれないので、そこはちょっと一般市民とは立場は違うかもしれないが、ライトレールによって自動車からモード転換が起これば、道路渋滞は緩和される。これは、自動車利用者にとってもプラスで、北側に住んでいてライトレールを使わない市民にもメリットにはなる。ポートランドがライトレールを整備する時は、都心部の東側の道路渋滞の緩和を強く訴えていた。渋滞緩和はタクシー運転手さんにはプラスになると思うのだが、違うのか?少なくとも利用者にはプラスになるので、利用者も増えると思うのだが、ここらへんは私が間違っているかもしれない。特にある時間帯に交通需要が集中する大学などの学校機関にライトレールを整備することは、理に適ってはいる。特に大学生の多くはまだマイカーなどを所有していないので、公共交通に依存する確率が高いので有り難いだろう。地方大学は圧倒的に東京などの大学に比べると競争力を失っているので、こういう通学の利便性が高くなることで、少しでも学生を地元に残すことができれば、地域にとってはプラスになると思うのだが、どうだろうか。

とはいえ、鉄道系はネットワーク化して始めて利便性が高まり、利用者も増えていく。大赤字であるとはいえ、ポートランドは空港とか結ぶ路線も整備するなど、ネットワーク化を進めることができたので、多少、利便性も高まって利用者も増えている。宇都宮市はポートランドとほぼ同規模の人口を有している。それこそ北側とかにもネットワーク化を進めるべきであろう。宇都宮動物園まで結ぶ路線なども考えるなどしてもいいかもしれない。

これは東京の地下鉄で銀座線だけしか走っていなければ、あまり人が利用しないということと同じだ。ネットワーク化するところまで持って行ければ、それなりに社会基盤としての有用性を持つようになると思われる。ただ、そのためには現行のような高規格(おそらく、世界で一番高規格なライトレール)ではなく、もっと安くつくるようにして、そして、丁寧にその有用性をこのタクシー運転手のような反対派に説明していくことが必要となるであろう。とはいえ、ポイントは高齢者ではなく若者だ。若者に支持者を増やしていくことが何より重要だと思われる。

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