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ゴールデン・ステート・ウォリアーズの優勝について考える [スポーツ]

3年ぶりにファイナルに進出したゴールデン・ステート・ウォリアーズが見事、4勝2敗でボストン・セルティックスを下して昨日(日本時間)、優勝した。ステファン・カリー、クレイ・トンプソン、ドレイモンド・グリーンのトリオでの優勝は4回目になる。この8年間で6回、ファイナルに進出し、4回優勝するというのは選手だけでなく、監督を始めとしたスタッフ、そしてオーナーやジェネラル・マネージャーが極めて優秀であるからだ。ウォリアーズのファン歴はもう30年になるが、1990年代のあの脆弱ぶりが信じられないような強豪へと変貌したが、それは2010年にオーナーがジョー・レイコブに代わったのが一番のきっかけであるのは間違いないであろう。前のオーナーであったクリス・コーハンがあまりにも酷かったので、その違いは鮮烈的でさえあった。
 ウォリアーズは全体3位でプレイオフに進出するが、最初に対決したデンバー・ナゲッツを4勝1敗で下すと、おそらくファイナルを含めて最大の強敵であったメンフィス・グリズリーズと対戦。若手スーパースターのジャ・モランが怪我をしたこともあり、辛くも4勝2敗で退けると、ウェスタン・コンフェレンスの決勝ではダラス・マーベリックスを難なく4勝1敗で勝ち抜く。
 そして、ファイナルの初戦のボストン・セルティックス戦をホームで落とす。これまでのプレイオフでセルティックスは連敗したことがない。ウォリアーズも連敗したことはないが、初戦を落としたということは、3勝4敗で負けるということか、と焦る。実際、4戦までは交互に勝ち負けが続き、お互い2勝2敗と展開する。さて、しかし次の5戦、ウォリアーズは連勝し、セルティックスにプレイオフ初の連敗を喫させると、次の6戦も敵地ボストン・ガーデンで勝利をする。結果的にはメンフィス・グリズリーズの方が強敵だったかとは思うが、ボストンのツボにはまった時の爆発力は驚異的であった。ある程度、点差が開いてもあっという間に追いつかれる。そして、その守備力は凄まじいものがあり、5戦は勝ったとはいえ、カリーのスリー・ポイント達成連続試合記録を阻止した。バスケにおいて、ディフェンスがいかに重要かを知らしめるような素晴らしい守備を誇るチームであった。
 さて、ウォリアーズであるが、四度目の優勝でステファン・カリーが初めてファイナルのMVPを獲得した。そして、まさにMVPとしてチームをまとめて、その勝利を導いた。カリーの素晴らしいところは、その現実離れしたシュート力だけでなく、チームを統率する力が傑出しているところである。カリーは、スーパースターであるにも関わらずエゴイストではない。その結果、ウォリアーズはチーム力が他チームに比べても飛び抜けていい。これはマイケル・ジョーダン、コービー・ブライアント、レブロン・ジェームズ、ケビン・デュランといった他のスーパースターが有していない資質である。おそらく、そのような選手は、スパーズを引退したティム・ダンカンぐらいであろう。皆が、カリーと一緒にプレイするのを楽しむ。そして、カリーも皆と一緒になって勝利を勝ち取ることを至上の喜びとする。MVP受賞でのスピーチが「個人の賞より、優勝したことの方がずっと嬉しい」と言ったのは本音であろう。
 本シーズンは二年間を怪我で棒に振ったクレイ・トンプソンが期待通りには、怪我前の状態には完全復活できなかったことや、ドレイモンド・グリーンのポイント力が減じたこと(優勝を決めた試合では結構、決めたが)など、前回の優勝時に比べてカリー以外のトリオの二人は戦力として劣っていたが、それを埋めるかのように、アンドリュー・ウィギンス、ジョナサン・プールといった若手が大活躍をした。さらにこれまであまり目立った活躍をしなかったケビン・ルーニーもボストン戦では勝利に大きな貢献をした。加えて、オットー・ポーター・ジュニア、ネマンジャ・ビエリカといったベテラン勢もここぞという時にしっかりとしたプレイをし、勝利を引き寄せた。シーズン前は一軍と契約を出来るかさえ分からなかったゲイリー・ペイトン・ジュニア(あのシアトルの名選手ゲイリー・ペイトンの息子)がシーズンを通じて貢献し、メンフィス・グリズリーズ戦で怪我をして戦線離脱をしていたのだが、ファイナルでは復活でき、ファイナルでプレイできたのは、今シーズンのウォリアーズを象徴するような心温まるエピソードである。つまり、ウォリアーズはファンだけでなく選手をも幸せにするような組織なのだ。ゲイリー・ペイトン・ジュニアといい、アンドリュー・ウィギンスといい、他チームで過小評価されていた選手がウォリアーズにくると大活躍をするというのは、まるで野村再生工場のNBA版である。アンドリュー・ウィギンスなどは初のオールスターのスターティング選手にまで選ばれたから驚きである。というか、昔のウォリアーズはトレードの失敗の連続であったが、ウィギンスといい、ボーゲットといい、オーナーが代わってからのウォリアーズのトレードはほとんど失敗がない。バスケは選手がプレイするものであるが、勝利するためにはオーナーが、いかに重要かが改めてよく分かる。
 さて、今シーズンはウォリアーズの調子がよかったので、NBAもユーチューブでフォローをしていたが、ウォリアーズだけでなく、メンフィス・グリズリーズやニューオリンズ・ペリカンス、ミネソタ・ティンバーウルフスの台頭などもあり、結構、勢力地図が塗り替えられつつあってとても楽しめた。そして、ウォリアーズの有終の美でシーズンを終えたとは、私的には最高のシーズンの一つであった。
 カリーも34歳で、ウォリアーズの将来はそれほど明るいものではないかもしれないが、ドラフト2位のジェームズ・ワイズマン、今年加入したジョナサン・カミンガ、モーゼス・ムーディなどが成長すれば、まだまだ優勝争いには参加続けられるのではないだろうか。ウォリアーズのファンで惨めな思いを随分としていたが、最近の活躍は、それを補ってあまりある大躍進である。

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