麺の歴史 [書評]
伝承料理研究家の奥村彪生の著書。即席麺である「チキンラーメン」を開発した安藤百福が監修をしている。「麺の歴史」ということで、大きく麺類全般を取り上げてはいるが、その焦点は「ラーメン」に絞られている。これは、もはや国民食である「ラーメン」だが、それがどこから来たか、という問いにはなかなか答えられず、多くの謎と推理があるからだ。そして、その解明しようとする過程の中で、いろいろと見えてくる。まず「ラーメン」という言葉が中国にはなく、なぜ「ラーメン」という言葉ができたのか、ということなのである。そして、ラーメンを通じて、東アジアの食の文明史のようなものが展望でき、非常に面白い内容の本である。著者の造詣の深さには驚く。