巻機山(日本百名山46座登頂) [日本百名山]
大学の講義が始まると講義や校務に追われて忙しい。結果、秋に百名山にチャレンジすることがなかなか適わなくなる。そんなことでは不味いと思い、尾瀬の燧ヶ岳にチャレンジしようとしたのだが、ゴートゥーで前泊するような宿がまったくない。それでは谷川岳にしようと水上にある安宿を予約した。予約した後、しかし、ロープウェイの始発は何時かな、とネットで調べたら、なんとロープウェイは運行中止になっていた。何それ!と思ったが、当日予約なのでキャンセルしても全額払わなくてはならない。それなら近場の苗場山に行くかと思ったが、天気予報では苗場山は雪。ということで、それではと巻機山にチャレンジすることにした。
宿を4時前に出て、途中、コンビニエンス・ストアに寄って巻機山の登山口の駐車場に着いたのが5時15分ぐらい。まだ空は暗いが、既に駐車場は結構、混んでいる。いろいろと身支度を調え、出発したのは5時50分。駐車場が多く、登山口を探すのにちょっと迷った。第四駐車場のところに登山口はあった。
既に空は明るくなりつつあり、山はまさに燃えるような色をしている。素晴らしい紅葉だ。
登山口を進むとすぐに沢コースと尾根コースの分岐点になる。沢コースは最近の大雨で崩落が激しく、登りはともかく下りは禁じられている。当然、尾根コースをとる。しばらくは緩やかな登りであるが、泥のぬかるみ道なので滑りやすい。なんか、日本の登山は泥道か礫を歩かされるかのどっちかだな。どちらにしろ、あまり快適ではない。ただ、巻機山の麓に広がるブナ林は素晴らしい。幹が太くなく、スマートなプロポーションをしているブナの木だ。
私の登山の弱点は下りに弱いということである。この下りに弱いというのは、元気な登り時に膝を痛めてしまうからなので、今回はゆっくりとマイペースで登っていくこととした。マラソンで最初に飛ばして後半、ガクッとくるような登り方をするのが問題であるのだ。ということで、抜かれてもじっと我慢をして一歩一歩、噛みしめるように登っていく。結果、この日は下りも膝にこないで下山をすることができたので、これからもこの登り方を守っていきたいと思う。
さて、歩いて二時間ぐらい経つと徐々に展望が開け、驚くような美しい紅葉に彩られた山が登山口の両側に展開する。そして、ほぼ2時間15分後(8時05分)に6合目に到着する。ほぼコースタイム通りである(『日本百名山-山あるきガイド』(JTBパブリッシング))。6合目は展望台になっており、見事な紅葉と六日町、さらには遠く日本海までも望むことができる。ここで軽くおにぎりを食べて休憩。
そこからはクマザサに覆われた中、泥の急斜面が続く。泥がまるでダーク・チョコレートのようだ。登山靴は泥だらけである。ここを我慢して歩いて行くと、八合目に出る。八合目からはしっかりと木で階段がつくられており、非常に歩きやすい。天気は快晴で、素晴らしい紅く燃えるような紅葉の山々を見ながら歩いて行く登山は、気持ちも晴れる。忙しい中、無理して時間をつくって登山に来てよかったとつくづく思う。
階段を登り切って左に歩いて行くとニセ巻機山に到着する。向かいには巻機山本峰と、その左に堂々とした山容の割引岳を見ることができる。時間は9時10分。この行程でもコースタイムより早い。多くの登山客に抜かれて歩いていた割には、ペースは決して悪くない。そこから5分ほど下ると巻機山避難小屋に着く。ここではトイレがあり、私も用を足す。そこからはまた登りになる。織姫の池と呼ばれる池塘に映える空と山を見ながら、稜線へと足を運ぶ。ここは御機屋といわれて、ちょっと平らになっている。ここは巻機山山頂の看板が立っている。実際の山頂は、もっと右にあるのだが、植生保全のために立ち入りができない。そのための措置である。とりあえず、ここで記念撮影をする。
当初は、ここで食事でもして引き返すことも考えたのだが、既に多くの登山客がここで食事を取っていた。時間は10時ちょっと前。下山はコースタイムより、遙かに時間がかかる傾向にある私だが、流石に登りの4時間よりかかることはないだろうと思い切って三角点があり展望のよい牛ヶ岳まで足を延ばし、そこで昼ご飯を食べることにした。牛カ岳に行く途中には本峰もある。本峰は平らで、あまり感動を覚えない。それより、この牛カ岳への尾根道は左に日本海の素晴らしい展望、目の前に越後三山、さらには右には平ヶ岳、燧ヶ岳、日光白根山、さらに後ろには谷川連峰、苗場山などを見ることができ、歩いていて本当に気持ちがよい。牛カ岳の近くにいくと奥只見湖も見える。
牛カ岳は尾根の先端という感じの場所で、そこから先は急坂となっている。何人かの人がいたが、空きスペースを探してお湯を沸かそうと思ったらなんと鍋を忘れた。本当、先日、買ったばかりなのに情けない。カップヌードルのビッグサイズをそのまま持ち帰る羽目になった。
牛カ岳は11時頃に発つ。下山の目標時間は4時間30分である。下りが何より弱点の私は、登りと同じように休みつつ、降りていくことを今日は自らに課すこととした。11時30分頃に御機屋を通過し、12時頃にはニセ巻機山を通過。8合目から6合目にかけては、途中、凄まじい泥濘の急坂を注意して下りていき、6合目には13時頃に到着。ニセ巻機山から6合目の下山はコースタイムの45分よりもかかっている。しかし、焦りは禁物だ。焦ると膝に来て、結果、余計時間がかかることになるからだ。先月の雨飾山では、まさに下山でコースタイムの1.5倍もかかることになってしまったが、これは膝が痛くなったからだ。
6合目を過ぎたあたりから、あれだけ晴天だったのに雲が出てきた。本当、山の天気はよく分からない。人にどんどん追い越されるが、何しろ泥に足を取られて滑らないことを念頭に下山する。とはいえ、一度は滑って尻餅をついてしまった。この滑るのは足の筋肉が持ちこたえることが出来なくなっているからだ。しかし、雨飾山よりはずっと足のコンディションはよい。三合目を越えると平らになったので、ちょっとペースを速めた。登山口に到着したのは14時40分。これもコースタイムの90分よりは時間がかかったが、10分程度であり、これは私的には相当の頑張りで、自分でもちょっと驚いた。やればできるじゃないか、という感じである。合計8時間50分の登山となり、いつもは体力を100%以上、使い切っている場合が多く、もう這々の体となっているのだが、今回は多少、余裕がある。将来に繋がる登山であったかなと思う。
私は、百名山にチャレンジはしているが、ほとんど苦行なので滅多に同じ山にもう一度登りたいとは思わない。苦行じゃなくて簡単な山はそれほど魅力がないので、やはりもう一度チャレンジしたいとは思わない。しかし、この巻機山は違った。もう一度、機会があれば登りたいと思わせた。こんなに気分よく、さらに達成感をも兼ねて登山をできたのは初めてかもしれない。
(5時前であるが駐車場には多くの車が既に駐車していた)
(登山口からすぐに分岐点がある)
(泥のぬかるみ道の急坂が続く)
(6合目の展望台)
(6合目から8合目までの泥濘んだ急坂)
(8合目からは階段が続いて歩きやすい)
(ニセ巻機山)
(ニセ巻機山から割引岳を望む)
(避難小屋)
(織姫の池)
(御機屋と呼ばれる稜線に開けた場所。巻機山山頂の看板が立っている)
(御機屋から牛カ岳へと向かう)
(牛カ岳)
(牛カ岳周辺の山々は真っ赤に燃えていた)
(まるで空中散歩をしているかのような尾根道)
(笹の緑と紅葉の赤とのコントラストが美しい)
(御機屋からニセ巻機山を望む)
(ニセ巻機山から八合目へと下りていく)
(ちょうど7合目周辺からの紅葉は見事であった)
宿を4時前に出て、途中、コンビニエンス・ストアに寄って巻機山の登山口の駐車場に着いたのが5時15分ぐらい。まだ空は暗いが、既に駐車場は結構、混んでいる。いろいろと身支度を調え、出発したのは5時50分。駐車場が多く、登山口を探すのにちょっと迷った。第四駐車場のところに登山口はあった。
既に空は明るくなりつつあり、山はまさに燃えるような色をしている。素晴らしい紅葉だ。
登山口を進むとすぐに沢コースと尾根コースの分岐点になる。沢コースは最近の大雨で崩落が激しく、登りはともかく下りは禁じられている。当然、尾根コースをとる。しばらくは緩やかな登りであるが、泥のぬかるみ道なので滑りやすい。なんか、日本の登山は泥道か礫を歩かされるかのどっちかだな。どちらにしろ、あまり快適ではない。ただ、巻機山の麓に広がるブナ林は素晴らしい。幹が太くなく、スマートなプロポーションをしているブナの木だ。
私の登山の弱点は下りに弱いということである。この下りに弱いというのは、元気な登り時に膝を痛めてしまうからなので、今回はゆっくりとマイペースで登っていくこととした。マラソンで最初に飛ばして後半、ガクッとくるような登り方をするのが問題であるのだ。ということで、抜かれてもじっと我慢をして一歩一歩、噛みしめるように登っていく。結果、この日は下りも膝にこないで下山をすることができたので、これからもこの登り方を守っていきたいと思う。
さて、歩いて二時間ぐらい経つと徐々に展望が開け、驚くような美しい紅葉に彩られた山が登山口の両側に展開する。そして、ほぼ2時間15分後(8時05分)に6合目に到着する。ほぼコースタイム通りである(『日本百名山-山あるきガイド』(JTBパブリッシング))。6合目は展望台になっており、見事な紅葉と六日町、さらには遠く日本海までも望むことができる。ここで軽くおにぎりを食べて休憩。
そこからはクマザサに覆われた中、泥の急斜面が続く。泥がまるでダーク・チョコレートのようだ。登山靴は泥だらけである。ここを我慢して歩いて行くと、八合目に出る。八合目からはしっかりと木で階段がつくられており、非常に歩きやすい。天気は快晴で、素晴らしい紅く燃えるような紅葉の山々を見ながら歩いて行く登山は、気持ちも晴れる。忙しい中、無理して時間をつくって登山に来てよかったとつくづく思う。
階段を登り切って左に歩いて行くとニセ巻機山に到着する。向かいには巻機山本峰と、その左に堂々とした山容の割引岳を見ることができる。時間は9時10分。この行程でもコースタイムより早い。多くの登山客に抜かれて歩いていた割には、ペースは決して悪くない。そこから5分ほど下ると巻機山避難小屋に着く。ここではトイレがあり、私も用を足す。そこからはまた登りになる。織姫の池と呼ばれる池塘に映える空と山を見ながら、稜線へと足を運ぶ。ここは御機屋といわれて、ちょっと平らになっている。ここは巻機山山頂の看板が立っている。実際の山頂は、もっと右にあるのだが、植生保全のために立ち入りができない。そのための措置である。とりあえず、ここで記念撮影をする。
当初は、ここで食事でもして引き返すことも考えたのだが、既に多くの登山客がここで食事を取っていた。時間は10時ちょっと前。下山はコースタイムより、遙かに時間がかかる傾向にある私だが、流石に登りの4時間よりかかることはないだろうと思い切って三角点があり展望のよい牛ヶ岳まで足を延ばし、そこで昼ご飯を食べることにした。牛カ岳に行く途中には本峰もある。本峰は平らで、あまり感動を覚えない。それより、この牛カ岳への尾根道は左に日本海の素晴らしい展望、目の前に越後三山、さらには右には平ヶ岳、燧ヶ岳、日光白根山、さらに後ろには谷川連峰、苗場山などを見ることができ、歩いていて本当に気持ちがよい。牛カ岳の近くにいくと奥只見湖も見える。
牛カ岳は尾根の先端という感じの場所で、そこから先は急坂となっている。何人かの人がいたが、空きスペースを探してお湯を沸かそうと思ったらなんと鍋を忘れた。本当、先日、買ったばかりなのに情けない。カップヌードルのビッグサイズをそのまま持ち帰る羽目になった。
牛カ岳は11時頃に発つ。下山の目標時間は4時間30分である。下りが何より弱点の私は、登りと同じように休みつつ、降りていくことを今日は自らに課すこととした。11時30分頃に御機屋を通過し、12時頃にはニセ巻機山を通過。8合目から6合目にかけては、途中、凄まじい泥濘の急坂を注意して下りていき、6合目には13時頃に到着。ニセ巻機山から6合目の下山はコースタイムの45分よりもかかっている。しかし、焦りは禁物だ。焦ると膝に来て、結果、余計時間がかかることになるからだ。先月の雨飾山では、まさに下山でコースタイムの1.5倍もかかることになってしまったが、これは膝が痛くなったからだ。
6合目を過ぎたあたりから、あれだけ晴天だったのに雲が出てきた。本当、山の天気はよく分からない。人にどんどん追い越されるが、何しろ泥に足を取られて滑らないことを念頭に下山する。とはいえ、一度は滑って尻餅をついてしまった。この滑るのは足の筋肉が持ちこたえることが出来なくなっているからだ。しかし、雨飾山よりはずっと足のコンディションはよい。三合目を越えると平らになったので、ちょっとペースを速めた。登山口に到着したのは14時40分。これもコースタイムの90分よりは時間がかかったが、10分程度であり、これは私的には相当の頑張りで、自分でもちょっと驚いた。やればできるじゃないか、という感じである。合計8時間50分の登山となり、いつもは体力を100%以上、使い切っている場合が多く、もう這々の体となっているのだが、今回は多少、余裕がある。将来に繋がる登山であったかなと思う。
私は、百名山にチャレンジはしているが、ほとんど苦行なので滅多に同じ山にもう一度登りたいとは思わない。苦行じゃなくて簡単な山はそれほど魅力がないので、やはりもう一度チャレンジしたいとは思わない。しかし、この巻機山は違った。もう一度、機会があれば登りたいと思わせた。こんなに気分よく、さらに達成感をも兼ねて登山をできたのは初めてかもしれない。
(5時前であるが駐車場には多くの車が既に駐車していた)
(登山口からすぐに分岐点がある)
(泥のぬかるみ道の急坂が続く)
(6合目の展望台)
(6合目から8合目までの泥濘んだ急坂)
(8合目からは階段が続いて歩きやすい)
(ニセ巻機山)
(ニセ巻機山から割引岳を望む)
(避難小屋)
(織姫の池)
(御機屋と呼ばれる稜線に開けた場所。巻機山山頂の看板が立っている)
(御機屋から牛カ岳へと向かう)
(牛カ岳)
(牛カ岳周辺の山々は真っ赤に燃えていた)
(まるで空中散歩をしているかのような尾根道)
(笹の緑と紅葉の赤とのコントラストが美しい)
(御機屋からニセ巻機山を望む)
(ニセ巻機山から八合目へと下りていく)
(ちょうど7合目周辺からの紅葉は見事であった)