SSブログ

紅葉に関する考察 [サステイナブルな問題]

日本は四季がはっきりとしていて、この季節感が日本人の自然の捉え方や死生観などに影響を与えていることは間違いないであろう。そして、その季節の移ろいの大イベントは桜の開花であるかと思う。ただ、私は桜より紅葉の方が好きだ。乱舞するような色彩のグラデーションは桜より、さらに目を楽しませてくれる。
 アメリカの画家、ジョージア・オキーフはニューヨーク州の避暑地であるレイク・ジョージに住んでいたが、その後、旦那の不倫を機にニューメキシコ州のゴースト・ランチへと引っ越しをする。その時の理由が「レイク・ジョージに比べるとゴースト・ランチのランドスケープの色彩がはるかに多彩である」と説明した。自然の色が、我々の色彩センスを豊かにする。レイク・ジョージが12色の色鉛筆セットであれば、ゴースト・ランチは48色のそれである。画家にとっては、自然の色彩が豊かであるということが、その才能のインスピレーションに必要だったのであろう。
 日本の紅葉時の色彩の豊かさもまさに48色の色鉛筆セットのようである。この色彩の豊かな空間に暮らしていることは、ある意味、たいへんな贅沢である。日本政府は、山を紅葉が美しいブナ林からせっせと植林政策のもとスギ林に変えてしまったが、紅葉時のスギ林の色彩は貧相である。生物多様性だけでなく、色彩の多様性をも失ったのが、日本政府の戦後の森林政策であった。
 とはいえ、日本にはまだそれらの政策から漏れたブナ林などの落葉広葉樹林の豊かな森があり、この時期に我々の心を豊かにするような色彩のダンスをみせてくれる。


nice!(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0