『ペスト大流行』村上陽一郎 [書評]
科学史の大家、村上陽一郎が1983年に出した『ペスト大流行』。これまでヨーロッパでは三回大きなペストの流行をみているが、この本は14世紀のペスト大流行に焦点を当て、その被害の実態、さらにはそれが当時のヨーロッパの社会経済に及ぼした影響についてコンパクトに論じている。著者の造詣の深さには驚くべきものがあり、現在のコロナウィルスがこれからどんな影響を社会経済に及ぼしていくのかを考察するうえで資するような知見に溢れている。
ペスト大流行: ヨーロッパ中世の崩壊 (岩波新書 黄版 225)
- 作者: 村上 陽一郎
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1983/03/22
- メディア: 新書