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利尻岳(日本百名山41座登頂) [都市デザイン]

利尻岳にチャレンジする。利尻岳には鴛泊ルートと沓掛ルートの二つがあるが、前者を選ぶ。宿の車で利尻北麓野営場まで送ってもらい、そこを5時に出発する。ちなみに利尻北麓野営場のトイレは驚くほど綺麗だ。ウオッシュレットまでついていた。ここの標高は約200メートル。そこから甘露水という日本百名水のある水場までの600メートルはしっかりと整備された道を歩く。登山の最初にこういう道を歩くと、こう気持ちが高まる。甘露水は鴛泊ルートにおいて、最初で最後の水場であり、水も美味しいのだろうが、流石に600メートル歩いただけではまったく水を消費していないので、ここでは水を補給する必要もなくパスする。
 しばらく歩くと、姫沼・ポン山ルートとの分岐点にくる(5時15分)。ここからは道も登山道という様相を帯び始める。空には雲もなく、朝の光がダケカンバの森を美しく照らす。たいへん爽快な気分で道を進むが、これからの長く果てしない距離を考えるとペースを上げずに、ゆっくりと歩を進める。四合目に到着したのは5時30分。ベンチもあり、ここで朝食を取る。ここで持っていた筈のストックを忘れたことに気づく。おそらく甘露水か姫沼・ポン山との分岐点でちょっとリュックを降ろした時だ。取りに戻ろうかとも思ったが、一緒に登っている友人が一本彼のを貸してくれると言ったので、そのまま進むことにする。取りに戻ると30分は損失する。この損失は時間的にも体力的にもよくないという判断だが、もしかしたら誰も取らないのではとの期待もあった。
 森の中の道は、晴れているので清々しい気分で歩を稼ぐことができる。たまに展望が開け、海を見ることができる。素晴らしい絶景に、さらに高いところから展望したいと気が逸る。五合目に到着するのは6時25分。だんだんと斜度は大きくなる。六合目に到着するのは6時40分。ここは第一見晴台とも言われ、長官山と海、礼文島を展望することができる。素晴らしい眺めであるが、まだ利尻岳を見ることはできない。ここからは本格的に標高を稼いでいく。七合目を過ぎると、岩が露出した急斜面がひたすら歩いて行く。第二見晴台に到着するのは8時。さらに踏ん張って登ると長官山。長官山に到着するのは8時35分。長官山まで登って初めて利尻岳の雄姿を望むことができる。利尻岳は本当にシルエットが素晴らしい。まるでマッターホルンのような造形の美しさだ。この姿をみると、大いに疲れも飛ぶ。ここの標高は1219メートルなので、ほぼ1000メートル登ったことになる。ここから山頂まではさらに500メートル登らなくてはならないが、気持ちを奮い立たさせる格好良さである。
 長官山からはちょっと下り坂もあり、せっかく標高を稼いだのにという気持ちにさせられるが、平坦な道は身体への負担は少ない。尾根道なので展望は素晴らしく、歩いていて気持ちよい。この心地良さも登山の醍醐味である。避難小屋を通過するのが8時50分。そして、9時30分に9合目に到着する。9合目は最後のトイレブースが置かれているところだ。そして、9合目の看板には、「ここからが正念場」と書かれている。9合目で水や必要としない雨具を置いて、若干、軽装になり、山頂を目指す。さて、正念場というだけあって、ここからはほとんど岩登りの様相を呈す。ストックも下りはともかく登りはいらないであろう。両手を使いながら、這い上がっていくような形で登る。たまに尾根に出た時に、強風が吹くので帽子が飛ばされないように気をつけた方がいい。
 沓掛ルートとの合流点に着いたのは10時15分。さらに急峻ながけのようなところを登っていく。ただ、崩落しそうな登山道は補強がしてあり、それほど危険は感じない。蝋燭岩の異様な姿を横目に見つつ、力を振り絞って山頂にたどり着く。時間は10時45分。ほぼ5時間45分で山頂に到着。
 山頂からはまさに360度の大絶景を楽しむことができる。まるで天上から下界を展望しているような感じだ。周りはすべて海だが、その先には礼文島、北海道、さらには樺太らしきものも見られる。深田久弥が『日本百名山』で「島全体が一つの頂点に引きしぼられて天に向かっている。こんなみごとな海上の山は利尻岳だけである」と述べているが、山頂からの展望は地上にすべて放たれている、という感じである。息を呑むような美しさで、このような晴天の日に利尻岳に登れた幸運に感謝する。
 山頂では簡単な昼食を取り、11時過ぎに下山し始める。さて、登りよりさらに注意をしなくてはならないのは下山だ。ここではストックを使いながら、1歩1歩丁寧に下がっていく。八合目の長官山に着いたのは13時。ここからはもう利尻岳は望めないので、後ろを振り向かずまっすぐ登山口へと向かう。とはいえ、この胸突き八丁を降りるのは結構難儀である。足も相当、疲れているので浮石に足を取られやすい。五合目に到着したのが14時50分。五合目からは森の中の難しくないコースなのだが、疲れが相当きているのと、膝を痛めないようにゆっくりとしたペースを維持しながら進む。しかし、四合目を過ぎると、ストックがそのまま残されているかどうかが気になり、ペースを急ピッチとする。そして、姫沼・ポン山との分岐点にストックが無事、二つとも草むらに置かれたままであった。感動的だ。このストックを紛失したら、せっかくの利尻岳登頂にも苦い思い出を残すことになったので、登山者達のマナーに本当、心から感謝する。そして、非常に晴れやかな気分で登山口の北麓野営口に到着したのは16時。
 ほぼ11時間、歩行距離11.6キロメートルの長丁場の登山であったが、その苦労の甲斐あって、大変素晴らしい登山経験をすることができた。 

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<登山口の北麓野営場>

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<第一見晴台からは素晴らしい海の展望が得られる>

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<ワイルド・フラワーが多いのが利尻岳登山の魅力であろう>

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<登山道に多く咲くリシリブシ・・・トリカブトの一種で毒を持っている>

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<長官山まで辿り着いて初めて利尻岳の勇姿をみることができる>

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<九合目から利尻岳を望む>

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<九合目の道標には「ここからが正念場」と書かれている。なぜか英語はTough Trail。ちょっと意味は違うよな>

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<周りが海に囲まれているので、山頂付近からの展望は感動的である>

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<頂上まであと少し。しかし、この急登は厳しい>

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<山頂のそばに屹立する奇岩、ろうそく岩>

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<山頂からこれまで沓掛方面をみる。すごい急峻な山であることを改めて実感する>

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<利尻岳の最高峰は南峰なのだが、現在は行くことは禁止されている>

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<山頂からは礼文島がくっきりと見える>

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<山頂手前の凄まじい登山道>
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