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奥白根山(日本百名山40座登頂) [日本百名山]

奥白根山にチャレンジする。朝の4時過ぎに目黒区の自宅を自家用車で発つ。白根山のゴンドラの麓駅に着いたのは7時30分ぐらいである。7時30分はちょうどゴンドラの始発の時間であるので、タイミング的には絶妙であると言えるであろう。この日は晴天で、逆光であるが白根山の雄壮たる姿が見える。丸沼高原はスキー場が気に入っているので何回か来たことがあり、このゴンドラも随分と乗ったことがあるのだが、夏に来るのは初めてである。
さて、MarunumaではなくてMalnumaと書かれたゴンドラに乗って登山口まで一挙に上る。MalnumaのMalはスペイン語で「悪い」という意味なので、なんでMaruにしなくてMalなのか昔、気になっていたことを思い出した。しかし、その理由は今日になっても知らない。
ゴンドラで一挙に標高2000㍍地点まで上る。先週登った磐梯山の山頂より既に高い。標高が高いこともあり、空気が澄んでいて、フィトンチッドに溢れているような清涼さを感じる。さて、このゴンドラの駅からは、しばらくしっかりと整備された自然散策路で、牧歌的に歩いて行く。出発したのは8時ちょうどである。1時間弱で、自然散策路とは分岐し、本格的な登山路になる。いきなり斜面は急になり、呼吸も荒くなる。ただし、登山道はダケカンバの森の中を行くのだが、その美しさに息を呑むぐらいだ。日本は素晴らしい自然に恵まれていることを再確認する。しかも、東京から自動車で三時間ちょっとでこんな大自然にアクセスできるなんて、よく考えたら凄いことだ。ロンドンでもパリでもベルリンでも、このような大自然に自動車で三時間以内では行くことはできない。このダケカンバの森を一時間ぐらい歩くと、森林限界に達し、白根山が目の前に聳え立つ。ここからはガレ場である。それにしても百名山はガレ場を登らせる山が多い。いかに、日本の山が火山活動でつくられたかを思い知らされる。ガレ場を歩くポイントは、足もとをしっかりと確認して、浮き石に足を取られないようにすることだ。あせらず一歩一歩前に進んでいく。ふと振り返ると、富士山がその姿を現している。周辺の山々から図抜けて高いのでよく目立つ。富士山はその美しさだけでなく、圧倒的な高さによっても他の山々から飛び抜けた存在であることを、標高2500㍍ぐらいから望むとよく理解できる。さて、富士山の姿に勇気づけられ、ガレ場を前進していくと、無事、白根山の山頂の一角に着く。ただ、本当の頂上はもう一つの山頂であり、一度、窪地のようなところに降りて再び登る。山頂に着いたのは10時ちょうどであった。二時間で登れたことになる。
山頂からは360度の展望が得られ、白根山がひときわ周辺の山より高いこともあって、本当に感動的な景色を楽しむことができる。東側のすぐ隣には男体山と中禅寺湖、そして北に目を向けると会津駒ヶ岳、その左隣には燧ヶ岳の特徴的な山容がどんと構える。燧ヶ岳の左方向には至仏山が見られるが、燧ヶ岳からは意外と離れており、尾瀬湿原の大きさにちょっと驚かされる。そして、武尊山や皇海山も見える。さらには、前述した富士山もくっきりとその勇姿を現している。そして何より眼下に見られるエメラルドグリーンの五色沼の美しさが目を引く。北海道の阿寒国立公園にあるオンネトーよりもさらに心を惹かれる色彩だ。ちょっと宝石のような輝きを放っている。いやはや、こういう体験をすると登山をしたことのご褒美をもらえたような気分だ。簡単な昼食もこの山頂で取る。
そのまま、矢陀カ池を通って下山しようと思ったが、思いのほか早く登頂できたので、せっかくなので五色沼に寄ることにする。こちらのルートもガレ場なので降りるには足もとを注意しなくてはならない。マルバダケブキの黄色の中を歩いていくのは心躍る気分だ。マルバダケブキの黄色と五色沼のエメラルドグリーンとのコントラストが美しい。五色沼に着いたのは12時ちょっと前。思ったよりも時間はかかった。五色沼は遠くからだけでなく、畔からでもその美しさは変わらない。太陽が雲に隠れると、その色がエメラルドグリーンから藍色へと変わっていく。そして、その背景に見える白根山の堂々とした山容が素晴らしい。アメリカのシエラネバダ山脈の山々で感じるような荘厳さ、自然の素晴らしさを感じる。こんなところが北関東にあったのは驚きである。
しばらく五色沼の素晴らしさを堪能して、下山に入る。とはいえ、そこから矢陀カ池までは80㍍の高さを登らなくてはならない。矢陀カ池までは25分ぐらいで着いた。さて、ここは菅沼新道とロープウェイ駅との分岐点なのだが、ロープウェイ駅へのルートは「白根山」とだけ書いてあった。いや、ちょっと気をつければ「ロープウェイ駅もこちら」と書いてあったのだが、その時は、他の登山客がちょうど案内板の前にいたこともあり、遠目でチェックをした私は見落としてしまった。「白根山にはもう登らないよな」と思って、そのまま「菅沼登山口」に向かって下山をし始めた。この登山口も苔の緑が美しく、下山でもあり、楽しい気分で歩いていたのだが20分ぐらい歩いたところで「菅沼登山口まであと2.1キロメートル」の看板をみて、嫌な予感がして地図を確認するとまったくルートを間違っていることに気づく。既に結構、疲れていたので900㍍の来た道をまた登ると考えるとゾッとしたが他の選択肢はないので来た道を戻る。矢陀カ池には20分ほどで戻る。時間としては14時になっていた。そこから「白根山」に向かう道を行き、ちょっと登ると白根山とロープウェイ駅との分岐点に達する。右側のルートを取って、ロープウェイ駅へと向かう。急勾配の坂をゆっくりと歩いて降りていく。約1時間で自然散策路に合流し、せっかくなので「血の池地獄」という場所を見に行ったのだが、これはたいへん今ひとつであった。今日の登山で、唯一がっかりしたのはこれであった。というか、ネーミングと池のギャップが凄すぎる。あまりにがっかりしたので写真を撮る気力も出てこなかった。
登山口に戻ったのは15時20分。いらぬところで40分ほど損したので、思ったよりも遅くなってしまった。全行程で7時間ちょっと。
これまで北関東・南東北の山は結構、登ってきたが、この奥白根山はそれらの中でも別格の素晴らしさであった。寿司屋でいうと、先週の磐梯山が1500円ぐらいのランチ握りであるとすると、奥白根山は10000円の高級店でのランチ握りという感じである。これまでの登山の中でもベスト5に入る素晴らしい山であった。 

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<朝8時のロープウェイの山頂駅からみる奥白根山>

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<ダケカンバの森を歩いて行く>

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<朝の木漏れ日が美しい>

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<登山途中から武尊山の雄壮たる山容が望める>

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<森林限界を越えるとガレ場が広がる。と同時に白根山がその姿を現す>

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<振り返ると、富士山がその姿をはっきりと見ることができた>

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<白根山の山頂から北側への展望。燧ヶ岳を見ることができる>

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<白根山の山頂からの展望。男体山と中禅寺湖がすぐ目の前に広がる>

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<山頂からの五色沼の展望>

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<マルバダケブキの黄色と五色沼のエメラルドグリーンとのコントラストが美しい>

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<五色沼からの白根山の展望>

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<五色沼の息を呑むようなエメラルドグリーン>

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<矢陀カ池>

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<矢陀カ池から白根山を展望する>

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<下山時にロープウェイ駅から白根山を望んだところ>



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