コロナの時代の僕ら [書評]
1982年生まれのイタリアの作家パオロ・ジョルダーノのコロナ禍でのエッセイ集。このイタリアの若い知性は、問題の本質を鋭く把握しており、またそれを表現する高い文章力が、読者にコロナ禍の世界を理解させることに資する内容となっている。例えば、コロナウィルスの感染を、ビリヤードの玉に例えたところなどは秀逸だ。ソーシャル・ディスタンスは、それぞれの玉の距離を離すことであるといった比喩も説得力がある。このエッセイ集は、現地の新聞に寄稿したものが始まりだそうだ。イタリアの2月頃の状況をもとに、いろいろと思いを巡らしている内容であるが普遍性を持っている。イタリアでのコロナ収束への方向転換には、このような知性が寄与していることはおそらく間違いないであろう。
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