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海外留学の代わりにオンライン留学を検討する学生は・・・増えない [教育論]

大学の教員をしていると、頓珍漢な大学運営に驚くことが多い。しかし、これは自分が奉職している大学だけではなく、他の大学も似たり寄ったりである。それでも、7月29日の朝日新聞の記事で紹介されたことには驚いた。

群馬県立女子大は「海外留学・海外ボランティア・海外フィールドワークを希望する学生は多いが、実際に行ける学生は激減し、海外留学の代わりにオンライン留学を検討する学生が増える可能性もある」。

これだけを読めば、何を驚いたのかと思われるかもしれない。解説させてもらう。海外留学に行くために日本の大学に行くという選択肢はある。いきなり、海外の大学を外国人の立場で受験して合格するのは至難の業なので、日本の大学に入って海外の協定校などで行って、留学もどきの体験をすることは決して悪くはないと思う。しかし、ここでオンライン留学ということになると、ちょっと話は変わってくる。オンラインでの留学をするのであれば、そもそも日本の大学に入る必要はなくなる。なんで、わざわざオンラインで海外の大学の講義を受講するのに、日本の大学に授業料を払わないといけないのか。ちょっと頭が働く保護者、そして学生だったら気づくだろう。いや、それはオンラインのアクセス権がないから、とか反論するかもしれないが、海外の大学だって馬鹿じゃないので、直接、若者達にアプローチにするようになるだろうし、オンラインのアクセス権を日本の大学が確保するのは、相当の交渉が必要となるだろう(私は以前務めていた大学で、留学の部署であった国際センター長を務めていたのでここらへんの交渉が簡単ではないことはよく知っている)。
 何を言いたいかというと、群馬県立女子大の朝日新聞に取材をした人は、オンライン留学を検討する学生は、もはや群馬県立女子大に授業料を払うインセンティブが実はない、ということをあまり理解してないと思われるのだが、そのようなお人好しの学生はそれほど多くないということだ。海外の大学によるオンライン留学が普及したら、日本の大学に授業料払ってまで、オンライン留学をしたい学生は減りますよ。
 と書いていて、そんなことはないな、と言うことにも気づいた。オンライン留学をしてまで英語での勉強をやりたい、という学生はいないわけではないだろうが、おそらく極めて少数で、それだけ勉強熱心だったら、大変失礼ながら群馬県立女子大には行っていないからだ。海外フィールドワークや海外ボランティアといった身体的な海外体験を求めている学生はいても、オンライン留学までして海外の大学の勉強をしたい学生はゼロとはいないが、ほとんどいないであろう。いや、関係者が不愉快な思いをしたら申し訳ないが、ほぼ同じかちょっと上ぐらいの偏差値の私の現在勤務している大学も前任校においても、そういう学生は皆無である。
 最初の考察とはずれたが、それでもこの朝日新聞での記事での発言はおかしい。それは、「オンライン留学を検討する学生が増える可能性もある」ということがないからだ。

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