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「Go To トラベル」は21世紀の「生類憐れみの令」なみの愚策である [サステイナブルな問題]

コロナウィルスの新規感染者数が増えている。昨日(7月21日)、東京都内では237人の新型コロナウイルス陽性者が確認された。陽性者が100人を越えるのは13日連続で感染拡大に歯止めがかからない。大阪府でも 72人と増加傾向がみられる。国内での新規感染者数は631で、全体でも増加傾向にある。増加率の推移をみると、4月2日の頃よりは緩やかではあるが、パンデミック前夜というような状況でもある。
 さて、そのような危機的状況にある中の本日、「Go To Travelキャンペーン」が開始される。Go To Travelって、英文法的に間違っているだろう(敢えて正しいように解釈すると、Travelという固有名詞がある場合、例えばTravelというお店に行けという場合は間違いではない)という突っ込みは置いといて、このあまりのタイミングの悪さにゾッとする。というか、実態としては、人々の移動をむしろ規制するような状況であるのに、血税を投入してまで人を移動させようと促すこの愚策は、なんかコロナウィルスを撒き散らしたい悪意があるのか、とさえ邪推させる。
 コロナウィルスは人を介して感染する。したがって、ソーシャル・ディスタンスやマスクが極めて、その感染防止に有効である。これでも感染拡大を阻止できない場合は、ロックダウンという措置をすれば、EUの経験からも抑えることができることは分かっている。
 ゴートゥー・トラベルはまさに、その逆の効果しか及ぼさない。それなのになぜ、このような対策をするのか。表向きは国内観光需要喚起ということで、コロナウィルスの流行によって打撃を受けた観光産業の支援ということだが、この施策によって、さらにコロナウィルスの新規感染者数が増えれば、結果的には観光産業により大きな打撃を与えることになる。そもそも、コロナウィルスによる地球規模でのパンデミックは、観光のあり方に大きなパラダイム転換のような変化を強要しているような状況である。コロナウィルス以前の観光を維持させようという発想自体、賢明ではないと思われるが、そのために血税を投入する必然性はない。この愚策の予算は1兆7千億円。日本人一人当たりの負担額は1万4600円ぐらいか。一人一泊当たり2万円の補助だと、まあそんなものかもしれないが、東京都民には適用されないので、その不公正はどうにか対処してもらいたいと思う。と書いて、東京都民の予約キャンセル料を国が補填するので、これで東京都民分は全て水疱に帰すだろうな、と思ったりする。しかし、このキャンセル料に税金を使う、ということの馬鹿さ加減というか無責任さをもっと自覚してもらいたい。普通、こんなキャンセルをさせるような事業を遂行したら、民間企業だったら降格かクビですよ。というか、ボーナスは全額カットであろう。
 それはともかくとして、この状況下でこの愚策を推し進めるのは、当然、全国旅行業協会の会長が二階さんであるからだと推察できる。とはいえ、あまりにも分かりやすくて、国民を愚弄している。そして、二階さんを支持しているのが観光産業を所管する経済産業省らしい。相変わらず、経済産業省はセンスが悪い。
 私の机の上には、使われていない「アベノマスク」が置かれている。使おうかと思うのだが、あまりにもサイズが小さくて、結局、市販のものを使ってしまっている。そのうち、ゴミ箱に行くであろう。このアベノマスクで使われた国民の血税は260億円。まったくの無駄であったが、260億円だと国民一人当たりの負担は220円。まあ、これぐらいだったら、それほど痛くない。1万4600円は、ちょっと洒落にならない。あと、アベノマスクはコロナウィルスの感染防止に役立たなかったかもしれないが、その感染拡大には寄与していない。ゴートゥー・トラベルは感染防止にはまったく効果はゼロだが、感染拡大には寄与する。そして、この感染拡大することが、観光産業へのダメージをより長期化、深刻化させる。
 二階さんは4200万円ぐらい、観光業界から献金してもらっていたので、このような機会に恩返しをしたいという気持ちはあったのかもしれないが、国民の健康(場合によっては生命)を犠牲にしてまですることではない。というか、これって、観光業界への恩返しにもならない。なぜ、もう少し、待てなかったのか。
 これは、「生類憐れみの令」なみの愚策だ。おそらく、歴史に残るであろう愚策になるだろうと思われる。

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