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スティービー・ニックス(フリートウッド・マック)の名曲ランドスライドの歌詞の意味 [ロック音楽]

フリートウッド・マック(ピーター・グリーンやクリス・ウェルチの時代を除き、1975年以降のスタジアム・バンドになってからの話)は、3人の傑出したソングライターがそれぞれの個性を反映した楽曲群で我々を楽しませてくれるが、その3人の中でも特に強烈なキャラを放っているのはスティービー・ニックスであろう。
 さて、スティービー・ニックスは多くのヒット曲を世に送り出しており、どれが彼女のベスト・ソングかと問われると、なかなか悩ましいところは多いが、世代を超えて歌い継がれる曲はランドスライドではないかと思う。
 この曲はメロディもそうだが歌詞がなかなか人の琴線に触れるところがある。私も特に意味を考えなくても「But time makes you bolder, even children get older, and I’m getting older too」のところは惹き付けられていて、歌詞を覚えている。

I took my love, I took it down
Climbed a mountain then I turned around
And I saw my reflection in the snow covered hills
Till the landslide brought me down

Oh, mirror in the sky
What is love?
Can the child within my heart rise above
Can I sail through the changing ocean tides
Can I handle the seasons of my life

Well, I’ve been afraid of changing
‘Cause I’ve built my life around you
But time makes you bolder
Even children get older
And I’m getting older too

Take my love, take it down
Climbed a mountain and you turn around
And if you see my reflection in the snow covered hills
Well the landslide will bring it down

さて、しかし琴線には触れるが、その意味は不明瞭である。いくつか、日本語でその解説をしているブログもみつけたが、母親の心境だろう、とかちょっとズレた解釈がされている。ということで、私もちょっと解釈を試みたい。
その前に、スティービー・ニックスがどのような状況でこの曲をつくったのか。これについては、スティービー・ニックス自身も取材等で回答している(https://www.youtube.com/watch?v=9QAldn59NWQ)。
 作曲したのは1974年でスティービー・ニックスが26歳の時である。高校時代からのボーイ・フレンドであるリンゼイ・バッキンガムと音楽家として生計を立てようと頑張っていて、昼はウェイトレスの仕事をして、夜に創作活動に勤しんでいたのだが、この時はもう疲れ切っていて大学に戻ることを考えていた。ちなみに、ニックスの父親は全米にネットワークを張りめぐらすグレイハウンドの副社長を務めたような人である(一部では社長という説もあるが、父親本人の葬儀の案内では副社長となっているので、そちらが正しいように思われる)。
1973年にポリドールで録音した「ニックス・バッキンガム」がちょうどカタログから外された連絡を受けたニックスは、上記の取材でも述べているように大学に戻るか(授業料を親は出すと言っていた)、バッキングガムとの(主に音楽的)関係を続けていくかで悩み、このまま二人で音楽をやって行くぞという決意の心境を歌っている(と雑誌の取材で述べている。http://performingsongwriter.com/stevie-nicks-landslide/)。ということで、ニックスの父親本人とかも、これは自分のことを歌っていると思っていたらしいが(実際、あるライブではニックスがこの曲を父親にと言っている時もある・・・ただ、ニックスはこの曲をライブで演奏する時には、○○に捧げます的な言い方をする)、やはり、これは袋小路に陥った自分が今後、どうするか思慮して、その決断を示した歌と解釈するのが妥当であろう。
ちょうど、この曲はニックスがバッキンガムとコロラドのスキー・リゾートに滞在した時に創っている(ちなみにリアノンもこの時につくっている)。バッキンガムはエブリー・ブラザースの仕事が入り、ニックスのトヨタの車でアスペンを発つ。ニックスは父親がグレイハウンドの重役であったために、グレイハウンドのフリーパスを持っており、それで帰ろうかと考えていたら、なんとグレイハウンドがストライキに入り、結局、アスペンに滞在し続けることになるのだが、そのお陰でランドスライドとリアノンが創られたと考えると、結果的にはニックス、そしてこの素晴らしい二曲を聴くことができる人類にとってもグレイハウンドのストライキは福音であったのではと思われる。
ニックスはロッキー山脈に積もった雪を見ていて、これらが雪崩のように我々の積み上げたものをすべて台無しにするのだろう、と思ったと述べている(クリスタル・ヴィジョンの解説)。
さて、そのような情報をもとに歌詞を解釈してみよう。この歌詞は4つのパートに分かれるが、最初(1番目)と最後(4番目)が対になっている。最初が過去形で最後は現在形である。最初がIで最後はYouであり、最初は自分の心境、そして最後はこの曲を聴く者全員を指しているとも考えられるが、アスペンから喧嘩をしたような状態で出て行ったLindsayの可能性もある。とはいえ、あえて曖昧にした言い回しをしているのは、それほど重要ではないからであろう。ニックスは、この曲をつくっていたときはほとんど自分以外のものに対して、諦観のような気持ちを抱いていたのではと思われる。
分かりにくいのは、一行目のI took my love, I took it downの下りである。LoveはLindsayか音楽か、それともPolydorのアルバムかということだろうが、Lindsayとのその時の関係を考えると(喧嘩をした直後)、Lindsayと捉えるのが妥当かとも思われる。
そして、Climbed a mountain then I turned around/And I saw my reflection in the snow covered hills/Till the landslide brought me downのところは、ロッキーの山に登り振り返ると、雪に自分のReflectionを見て、そしたら雪崩が自分を山から降ろした、というような内容の歌詞に続く。ここでReflectionは単なる自分の姿ではなく、深慮という意味と掛けている。将来のことをいろいろと考えていたら、雪崩で原点に戻らされた、というような気持ちを歌っているのだろう。
 次ぎの二節は、私がこれからの音楽業界でやっていく苦難を乗り越えられるのか、という自問的な歌詞になっている。

Oh, mirror in the sky
What is love?
Can the child within my heart rise above
Can I sail through the changing ocean tides
Can I handle the seasons of my life

そして三節は、それに対しての答えを導き出したような内容となっている。ここのyouは、父親としては自分だと思いたいという気持ちは分かるが、この歌がつくられた状況を考えるとLindsayであろう。Lindsayと袂を分かつという可能性を考慮していたことが、ここでは歌われている。

Well, I’ve been afraid of changing
‘Cause I’ve built my life around you
But time makes you bolder
Even children get older
And I’m getting older too

最後の4節は、私の愛を受け取って、そのまま捨てちゃいなさいよ、山に登って振り返れば私の面影が雪山に見えるから。しかし、その面影も雪崩が流してしまうけど。


Take my love, take it down
Climbed a mountain and you turn around
And if you see my reflection in the snow covered hills
Well the landslide will bring it down

ううむ。ニックスが決意の歌と言っている割には、私の努力も結局、スタート地点に戻らされ、私の強い思いを相方が気づいても、それも雪崩に流されちゃう、というこう諦めの歌、恨み節の歌であることが分かる。まあ、ニックスの取材での発言と辻褄を合わせるには、この怨恨がこもったような曲をつくったことで、マイナス的な思考をすべてこの曲に注ぎ込んで、新しい未来に突き進もう、という気持ちになったということかもしれない。そして、実際、その年のクリスマス・イブにミック・フリートウッドと出会い、リンゼイ・バッキンガムとともにフリートウッド・マックのメンバーとなる。
そのように考えると、この曲が人々の琴線を触れ続けるのは、その圧倒的なエモーションがこの曲に詰め込まれているからではないだろうか。ほとんど6つしかコードがなく、構成も2つぐらいしかないシンプルな曲なのに、この曲の存在感は凄まじいものがある理由がなんか分かったような気がする。
私は昔から、スティービー・ニックスは米国の中島みゆきだよな、といい加減に思ったりしていたのだが、なんか、彼女の代表曲を考察していたら、この仮説、まあまあ当たっているかもと思ったりしている。


Fleetwood Mac

Fleetwood Mac

  • アーティスト: Fleetwood Mac
  • 出版社/メーカー: Rhino
  • 発売日: 2018/01/19
  • メディア: CD


(ランドスライドは1975年に発売されたこのアルバムに含まれていた)

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