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人口減少や少子化・高齢化といった問題を自治体だけで対応しようとしても無理であろう [サステイナブルな問題]

現在、京都大学の教授をしている広井良典氏が2010年に自治体を対象として実施した
「地域再生・活性化に関する全国自治体アンケート」で「現在直面している政策課題で特に優先度が高いと考えられるものは何か」という質問をしているのだが、その回答の一位は「少子化・高齢化の進行」であり、二位が「人口減少や若者の流出」であった(広井良典『人口減少社会のデザイン』、東洋経済出版社)。
 これらの課題は深刻ではあるが、これは自治体が政策的に対応してどうにかなるものではない。地球温暖化に一自治体で対応することよりかは何かしら手立てがあるかもしれないが、ほとんど焼け石に水であろう。というのも、このような問題が生じているのは、その自治体に原因がある訳ではなく、全国いや全世界的な現象であるからだ。そういう意味では地球温暖化とも共通点はあるかもしれない。
 それは10歳の子供が家計を心配しているような、なんかズレを感じてしまう。というのも、このような現象が生じている一番の要因は、中央政府そして自民党政権がそのような大都市(特に東京)を極端に優遇するような政策を推進してきたからであり、それに抗うのはゴリアスに素手で挑むようなものである。それは政策ではなく、政治で対応しなくてはならない、それなのに、そもそも地元に基盤はあっても、東京で生まれて東京で育って東京で暮らしている政治家が地元視点での政治ができる訳ないのに、そういう人達にずっと投票をしてきたことに問題がある。ここらへんから変えないと、一地方自治体が政策で対応しようとしても無理だ。それは、癌を手術ではなくて薬だけで処方しようとするようなものだ。しかも、薬ほとんど揃えがないし。
 このようなマクロの問題に対処療法的に対応するような愚はやめて、もっと、その自治体が100年後にどのようになっていきたいのか、といったような将来構想を地元で共有できるような動きをすることの方がずっと効果はあると思われる。それによって、未来をその自治体でつくっていこう、という気持ちにもなる。私が幾つか訪れた自治体でも、長門市(山口県)とか尾道市(広島県)、金沢市、弘前市、神山町などではそのような動きの鼓動を感じることができる。
 特にコロナウィルス禍の中では、それまで大都市の優位性の根源であった集積の経済が必ずしもプラスとして働かなくなっている。自分の自治体の存在意義、アイデンティティといったものを考えることの方が、「少子化・高齢化の進行」や「人口減少や若者の流出」といった課題に小手先で対応しようとすることよりずっと効果があると思われる。

人口減少社会のデザイン

人口減少社会のデザイン

  • 作者: 広井 良典
  • 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
  • 発売日: 2019/09/20
  • メディア: Kindle版



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