SSブログ

ヴィレッジ・ホームスのコミュニティ・パーティに参加する [都市デザイン]

サステイナブル・コミュニティの代表的事例であるヴィレッジ・ホームスに滞在しているのだが、ちょうど日曜日にコミュニティのポットラック・パーティが開催されたので参加させてもらった。ヴィレッジ・ホームスはサステイナブル・コミュニティを具体化させることを意図したのだが、そこで何しろ重視したのは、コミュニティという共同体をいかにつくりあげるのか、ということである。これは、ヴィレッジ・ホームスを設計したマイケル・コーベット氏に以前、取材した時に、彼が特に強調していた点でもある。
 さて、しかしヴィレッジ・ホームスがつくられたのは1975年。つくられた当初の高邁な理念は徐々に風化してしまい、共同体意識も薄れていったような印象を覚えたりした。いや、私は1993年に初めて訪れてから、その後、それこそサンフランシスコに住んでいた時はもちろん、帰国後も1997年、2003年、2005年、2008年と訪れていたので、時系列的な変化を観察していたので、そのような変化を感じていたのだ。実際、1975年に30歳ぐらいで移り住んだ住民達も70歳を越え、子供達も大人になってここを出た。住民の高齢化はここでも一つの課題である。
 このようなトレンドの中、ふたたび共同体としてのコミュニティを強化しようといった動きが見られつつある。このポットラック・パーティーはまさにそのような試みの一つで、数年前にここに住むようになったフランス出身の絵描きが提案して一年ぐらい前に始まったイベントのようである。
 ポットラック・パーティーはヴィレッジ・ホームスのコミュニティの象徴でもあるコミュニティ・センターで行われた。このコミュニティ・センターの中に入ったのは初めてだったのでそういう意味でも個人的には興味深かった。
 私はおばさん住民の間に座らさせられ、なんかまったく話題もなく、相当浮いたが、たまたま前に座った人がマイケル・コーベットの事務所で働いていたことがあり、つくられてすぐコーベット氏にヴィレッジ・ホームスの家を買わされてから住んでいるヴァージニアという方だった。そこで、つくった時の苦労話や、コーベット氏の話、ヴィレッジ・ホームスの運営管理の話などを聞かせてもらった。
 郊外住宅はコミュニティをつくることが大きな課題である。コミュニティという共同幻想をどうやって支えるかは住民のコミットメントが必要だが、ほとんどの郊外住宅地ではそれができていない。いや、郊外どころか家族という郊外においては核となるべき幻想でさえ、もはや蜃気楼のような状況になっていて共有できていない。これはアメリカでも似たようなことかと思うのだが、移民国アメリカは、この幻想を強化しなくては、という意識が強いような気がする。というか、強い人がヴィレッジ・ホームスのようなコミュニティに住むのだろうが。どちらにしと、面白い経験をさせてもらった。

nice!(0) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 0