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最近の若者は王子様・王女様気質である [教育論]

大学の教員を生業としている。そのため、多くの若者と日々、接しているのだが、最近、これらの若者が、いろいろと言うことを聞けなくなっている。
 先日、大腸の内視鏡検査を大学病院でやった。検査前に、腸管清浄剤を2時間で2リットル飲まなくてはならないのだが、20人いた被験者のうち、一人、若者だけが半分も飲まないでいた。大腸が綺麗な状態でなく内視鏡検査をやることはほとんど無駄なのに、彼は飲めないんだろうなあ。確かに、腸管清浄剤を2リットル飲むのは拷問のようなものだが、検査をするうえでは避けられないことだ。私が検査を終わった後も、この若者は未だ検査室に入っていなかった。これぐらい飲めよな、と心の中でこの若者を罵る自分に気づく。
 さて、それを観察している私は、しかし、これは結構、見慣れている光景である。私の大学の学生達も全員ではないが、言うことが聞けない。アルバイトの学生とかも、私の指示を聞かないで自分勝手の行動に出る。おそらく、私の方より彼の方が上手くやれると思っているのであろう。結局、4人のアルバイト学生のうち、彼の仕事を私がすることになる。なぜなら、彼の担当分だけ仕事が終わらないからである。
 この学生とは違うが、ゼミでヒアリングに行く時、会計係のゼミ生にヒアリング先へのお土産の購入を3日前にお願いしたら、「そんな急にお願いされても対応できかねます」とメイルで回答してきた。これは、流石に心底、驚いた。それ以上、早くお願いしたら忘れるだろうと思って、3日前という絶妙のタイミングと判断した時点でお願いしたら、どうも学生には遅すぎたようだ。というか、お土産なんて飛行場か新幹線駅で出発前、5分で買えるだろう。3日前で遅すぎるというのは、どれほどスケジュールがタイトなんだ、と思わずにはいられない。まあ、これは、実質的には「(王女様である)私にそんな依頼をするな」ということが言いたいだけなのかもしれないが、それにしても、こんな学生を連れてじゃあ、ヒアリング一つ行くこともできない。
 他にも気づくのは、何しろ偏食が多いことだ。トマト、ネギ、半熟卵、抹茶などに加え、ソーセージが食べられない学生もいる。ソーセージにはさすがに驚きましたね。これらの学生は文章をしっかりと書け、と指導しても、同じように主述がばらばらの文章を書きまくる。私の指導が聞けないほど嫌なら受けなければいいのに、なんか受け続けるのである。正直、苦痛である。
 これらの学生をみていて分かったのは、彼ら・彼女らの気分は王子様、王女様なのだなということだ。自分が世界の中心で、大学教員を含めて、周りの者はしもべのようなものと捉えているのだ。これは、学生を消費者として大切にしようというコンシューマーにプライオリティを置いた大学の経営戦略がもたらした副作用であると思われる。その結果、彼ら・彼女らの機嫌を取っているとしもべとして認識される危険性が極めて高まる。さて、しかし、彼ら・彼女らも数年で社会に出なくてはならない。王子様、王女様がいきなり王様の加護から離れて、自分の足で立たなくてはならなくなる。それを考えると、本当、心配になるが、ここで心配するとまた変な誤解をされるので、なかなかその対応が難しいところである。
 ということを腸管清浄剤を飲むのを拒絶し続けている学生(と思しき若者)を見ながら思ったりした。ちなみに、この学生への対応のために私が検査後に帰り支度をしている時、看護士は保護者へ連絡をしていた。まあ、病院も困るよな。というか、そもそも内視鏡検査をするのは、本人が生き延びるためであろう。生き延びたいなら飲めよな、と思うのと同時に、生き延びたくないのかもな、と思ったりもするし、そうでなくても、ソーセージやネギを食べられなければ、腸管清浄剤を飲める訳はないなとも思ったりもする。
 日本の将来は暗い。

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