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トランプが大統領であることが示唆すること [トランプのアメリカ]

知人であるニューヨーク市立大学の教授であり、日本でも著書が翻訳されているシャロン・ズーキン先生の家に行き、徒然とお話をした。そこで、私が最も気になっているトランプがなぜ大統領になったのか、その背景に関して、このアメリカでも傑出した知性に尋ねたのだが、トランプを支持する人が4割近くもアメリカにいることはまったく私の想像を絶する、と回答された。この回答には、正直、ちょっとガクッときたが、二年間、トランプ・ウォッチをしてきた私は、トランプを支持しているアメリカ人が倫理的でないからだと考えるようになっている。こちらのニュース番組でも、「ペロシ下院議長が宇宙人である」とトランプが発言したら、それを鵜呑みにするアメリカ人がいると言っていたが、これは冗談ではなくてどうも真実のようだ。まあ、今でもダーウィンの進化説や地球が丸いことを信用できない人達がたくさんいる国ですから。流石にズーキン先生は同じアメリカ人の4割近くが、そこまで酷い人達だということを直視できないのかもしれない。彼女はとても優しい人だからな。
 私の大学院の指導教官であるカリフォルニア大学バークレイ校の先生は、残念ながらトランプ支持者は人種差別者であるのだ、と指摘されていたが、それはまあ相当、当たっているのではないかと思う。しかし、私は人種差別者であるのと同時に、さらに残酷で、他人の痛みなどが分からず、平気で人を騙して他人を貶めることに良心の呵責も感じないような人達がトランプを支持しているのではないか、と思うようになっている。なぜなら、トランプがまさにそのようなキャラクターであるからだ。普通はこんな人、えんがちょするでしょう。トランプの選挙ラリーで、彼をロック・スターのように支援する人達は、まるでヒトラーを崇拝していた当時のドイツ人を彷彿させる。フロリダでの遊説で、「移民が入ってくるのにどうやって対処すればいい」とトランプが聴衆に問いかけたら、「鉄砲で撃ち殺す」と答えたりするからね。流石にトランプも「そりゃ、まずいでしょ」とフォローしていたけれど、基本、そういう人達がトランプを支持しているのだ。アメリカ・インディアンにも18世紀に、こういう人間がいればよかったのに。
 日本人は、特に団塊の世代の人達がアメリカかぶれなので、アメリカは絶対的に正しいと思っている人が少なくないが、統計でみても、アメリカの犯罪率は尋常じゃなく高いし、国民皆保険が導入できないのは、共同体としてお互い助け合う、という発想を受け入れられないからだし、銃を手放せないのも感情を抑えられないような時に鉄砲をぶっ放す権利を放棄したくないから、というとんでもない国である。いや、このような醜悪な欲望をオブラートに被せているけど、私は最近、その本音が相当、見えてきているなと思うようになっている。じゃなければ、学校であれだけの無差別殺人が起きているのに銃を放棄できないということは説明できない。
 まあ、とても残念だけれども、アメリカはそういう国であったのだ。今までは隠していたけれども、その倫理がなく、醜悪な身勝手なアメリカ人達が4割ぐらいいるということが露見されてしまったのが、アメリカにとってのトランプ大統領の最大の損失であると思うのだ。トランプ大統領という事実は、トランプが単独で悪いのではなく、それを支持するアメリカ人が4割もいるから初めて具体化できたのである。そして、この4割のアメリカ人は正直、とても隣人としてはつきあえないような嘘を平気でつき、相手の痛みに無神経な人達なのである。そういうことは、アメリカに7年は住んでいたので、ちょっと感じるようなことはあったが、トランプ大統領がその私が感じていた嫌な予感が現実であることを目の前に突きつけている。

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