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『論理的に解く力をつけよう』 [書評]

論理的思考を学生に教えるために、そのための優しい本をいろいろと物色しているのだが、この本はまったく役に立たないどころか、論理的思考の意義さえ疑わせるような駄本であった。そもそも、論理というのは言語によって構築される。しかし、この本の日本語はよく分からない。というか、問題がいろいろと提示されているのだが、その問題の趣旨が書かれている日本語を理解するのが結構、難儀なのだ。もう少し、言うと、もっと論理的に分かりやすく問題の趣旨を理解できるような日本語で書ける筈だと思うのだが、そのような論理性をあまり意識していない日本語なのだ。さらにいえば、その解説が論理的な日本語で書かれていない。いや、集中して読めば理解できない訳ではない。ただ、「論理的に」と言っている本で、論理的とはいえない解説をされてもなあ。
 また、その問題も「論理的に解く力」をつけるのに適切なものとは到底、言えない。実際、解答案も、もっと簡単にできるじゃない、とすぐ気づくようなものもあり、ちょっとしたクイズ本としてもこの本は使えない。私は、相当の駄本でも頑張って最後まで読むようにしていたのだが、この本は198頁のうち133頁で挫折して、本棚のスペースも無駄なのでゴミ箱に捨てた。いや、ブックオフに売ってもいいが、他人がこの本を読んで時間を無駄にするのも社会の損失かと思い、捨てました。
 失礼だが、この人の授業はつまらないだろうなあ。東京工業大学の先生ということなので、学生は飛びきり頭がいいかと思うが、それでもついていくのが大変な学生は多いのではないだろうか。よく考えれば、一応、東京大学の工学部を出ている私でも、ついていくのを諦めたからな。そして、これは「岩波ジュニア新書」である。中学生、高校生向けの本なのでしょう。なぜ、岩波の編集者がしっかりと直せなかったのか。この点はちょっと不思議である。

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