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日本経済新聞(7月13日)の石川潤氏の記事は、お門違いではないだろうか。 [トランプのアメリカ]

日本経済新聞(7月13日)で「トランプ氏にも一理あり 独の急所「天然ガス」攻撃 」という記事の見出しがあって、ちょっと驚いた(https://www.nikkei.com/article/DGXMZO32951980T10C18A7FF8000/?n_cid=NMAIL007)。というのも、この発言に関してMSNBCといった左寄りのアメリカのメディアもCNNといった中間寄りのメディアもこぞって「お門違い」といった報道をしており(トランプ政権の御用報道局のFox Newsはチェックしていないが、チェックしてもどうせトランプ政権の都合のよい情報しか流していないので無駄なのでしていない)、かのアメリカでも「何、勘違いしているの」ともう大批判の嵐なのに(https://www.youtube.com/watch?v=_Dms7zi8eVE)、驚いたことに日本の新聞記事がトランプ氏にも一理あると書いているからだ。もちろん、アメリカのメディアよりも日本の記者の方が鋭く状況を分析している可能性もあるだろうから、ちょっと読んでみた。そしたら、まったくお門違いの記事であったのでさらに驚いた。
 この記事ではこう書いている。
「ドイツはロシアのクリミア半島占領などに反対し、米欧による制裁を主導してきた。そのドイツがロシアの利益になるパイプライン計画を進めていることは、ご都合主義のようにもみえる。」
 これに関しては、アメリカのマスコミはパイプライン計画はクリミア半島占領の前から進めたことであるので、前後関係が逆だと報道している。つまり、クリミア半島占領した後にパイプライン計画を進めているのであるなら問題はあるが、それ以前の話だし、まさかクリミア半島を当時、ロシアが占領するとはドイツは想定外だったのでしょうがない、という主張をドイツではなく、アメリカのマスコミや識者は述べている。ちなみに先ほど紹介したCNNの記事では、ドイツがロシアから天然ガスを輸入している割合は35%に対してEU全体では37%であると紹介している。何もドイツだけを取り立てて責めるようなことではなく、ドイツ以外の国も、というかドイツはロシアの天然ガス依存は平均より低いぐらいであると指摘している(https://www.youtube.com/watch?v=_Dms7zi8eVE)。そして、ドイツを始めとしたEUがなぜロシアから買っているのか、というとクリミア半島占領してEUが天然ガスを買わないと言ったら、その価格をダンピングして圧倒的に安くしたので、経済的理由から購入しているだけとのことだ。
 次のような表現もある。
「もっとも、米国が制裁という手段を握っているだけに、ドイツとしては深入りしにくい。メルケル首相はトランプ氏への反論として、ソ連管理下の東ドイツで育った自分自身の経験をあげて「捕虜」ではないと訴えたが、正面からの対決は避けた感がある。」
 これは、どちらかというとNATOを弱体化させるようなトランプの動きに対して、NATOを代表してドイツは敢えて対立を回避しているというように、アメリカの報道からは伺える。残念ながら、忙しくてドイツの報道は分析できていないが(ドイツ語の理解が英語よりずっと遅いという問題もある)、ドイツは今や対トランプに対しては、ドイツ国の利益より欧州の結束をフランスとともに意識しているのは、記者ではなくても明らかなのではないだろうか。
 そして、次のような結語で記事をまとめている。
「巨額の経常黒字を確保しながら、防衛費の負担は少なく抑え、ロシアからこっそりとガスを購入する――。トランプ氏が暴いてみせたドイツの自国中心主義は決して的外れとはいえない。ドイツとしては表立って論争しても、やぶ蛇になりかねない難しさがある。」
 前述したように、ドイツの自国中心主義といった考えはまったく的外れであろう。防衛費の負担といっても、そもそもNATOという組織、国際ネットワークをつくったのはアメリカである。そのアメリカがNATOは無駄だ、時代遅れだ(Obsolete)といきなり言い始めたら青天の霹靂で、慌てるのは当然だろう。日本だって、日米安全保障条約は「時代遅れ」だし、日本は応分の負担をしろ!と言われたら戸惑うであろう。それをドイツ人の記者が「トランプ氏が暴いてみせた日本の自国中心主義は決して的外れとはいえない」などと書いたら、我々はどう思うだろうか。
 トランプと表立って論争するのは、アメリカの議員でももはやしないことだ。これは、嘘八百のトランプは議論が成り立たないからだ。こんなことは、トランプの言動、その報道をみていれば明らかだ。先日もイギリスにおいて「僕が大統領になってからアメリカのGDPは2倍、3倍に増えた」、「僕はリンカーンより支持率の高い共和党の大統領だ」と平気で言い放った人間ですよ。日経新聞の記者であったら、次のようなアメリカのニュース番組にも目を通しておくべきであろう。
https://www.youtube.com/watch?v=3aFgcae43qE
https://edition.cnn.com/videos/politics/2018/07/13/trump-nato-press-conference-claims-fact-check-orig.cnn
https://www.youtube.com/watch?v=R0WCg42MWtw
 イギリスがプロテストで、赤ちゃんトランプの巨大風船を上げることを計画したが、これは「表だって論争しても」まったく無駄なので、彼の唯一の弱点である自尊心を攻撃して抗議をしているのだ。
(https://www.cnbc.com/2018/07/13/trump-baby-balloon-takes-flight.html)
 トランプという大統領がこれまでの大統領とまったく違う詐欺師(con man)ということが、ここまで明々白々になっているのに、それに乗っかってドイツを攻撃するのは、Fox Newsやトランプ支持の共和党員などの悪魔に魂を売った輩のようだ。しかし、Fox Newsやトランプ支持の共和党員は魂を売るだけのインセンティブがあるが、この日経新聞の記者は、事実をしっかりと理解できないちょっと頭が抜けた人なのではないだろうか。
 日本経済新聞なのに、まるで産経新聞のようなレベルの低さだ。あまりの低さに記者の名前をチェックしたら、石川潤という記者らしい。何だ、この男はと思ってググったら、「日銀担当 石川潤記者への信頼が揺らぐ日経「真相深層」」とかいうウェブサイトが見つかった(http://kagehidehiko.blogspot.com/2016/09/blog-post_29.html)。
 まあ、これまでもいろいろと問題がある記事を書いているようだ。日本社会はあちらこちらで瓦解が生じているが、日本経済新聞という超一流の新聞も質の劣化が進んでいるようだ。少なくとも国際問題に関しての記事を書くのであれば、その国のジャーナリストが大統領をどのように報道しているかぐらい勉強すべきであるし、トランプの言葉をそのまま直接的に2018年7月において受け入れているようであれば、ジャーナリスト失格である。これは、ちょっと大変な事態である。
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