SSブログ

地域を将来にまで維持するのに最も重要なのは第一次産業ではないだろうか? [サステイナブルな問題]

東大の縮小都市の講演を聴いたのだが、中国の先生が、中国の縮小都市の実態を報告したものが興味深かった。事例としてはハルピン周辺の北東地区を多く挙げていたのだが、その縮小する都市の特徴として、計画経済でトップダウンで、ある産業に特化した都市(モノタウンと講演者は説明していた)ほど、縮小が激しいということを指摘していた。特に林業拠点として位置づけたYichun地区の事例は、林業という主要産業が衰退したことで、人々が農業を始めるということが私の興味を惹いた。この地区では、この20年間ぐらいで第一次産業の従業者が増えているのだ。
2年ほど前にキューバに行ったことがあるが、その時、医者やエンジニアが食べていくことに困って農業を始めた人々に話を聞いたことがある。キューバも中国も基本的には計画経済であり、市場経済のように柔軟にマクロ環境の変化に対応することが難しい。少なくとも、キューバのような食料輸入みたいな点で問題が生じるような事態が生じると、食料の価格が高騰化して、結局、自分でつくった方がいいような事態になってしまうのだ。詳しい事情は分からないが、中国とかだと簡単に引越とかができないのではないのだろうか。そうであれば、生き抜くために人々は農業に戻る、というのは分からなくもない(キューバの人達は出国は不可能に近い)。
そして、これは日本の縮小地域の一つの処方箋にもなるのではないかと思うのである。日本の縮小都市の代表例は夕張市である。一時期、11万人を越えていた夕張市の人口も現在では9000人を切るぐらいにまで減っている。これは、主要産業であった石炭産業が消失したからだが、夕張メロンをつくっている農家の人達は全然、経済的にも豊かでしっかりとやっている。農業をしていれば、縮小も怖くないのではないだろうか。もちろん、TPPなどによって海外の安い農作物が入ってきたりするとダメージも大きいかもしれないが、少なくとも飢えて死ぬことはない。改めて農業のポテンシャルを考えさせてくれた講演内容であった。

nice!(1) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 1