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生まれて初めて竹の塚を訪れる [都市デザイン]

生まれて初めて竹の塚を訪れる。私事であるが、三ヶ月に一度、埼玉県の越谷市にある獨協医科大学の付属病院に通っている。ということで、竹の塚はそのたびに通っていた。とはいえ、それほど関心を持っていなかったのだが、4日前、知り合いの広告代理店の人達と下北沢に飲みに行った時に、竹の塚は治安が悪くて有名なのだ、という話を聞かされ、「えっ!そうなの」と驚いたので、早速、今日、獨協医科大学での定期検診の後、竹の塚で途中下車をしたのである。

竹の塚という名前は前から知っていた。というのも、中学時代、私は東横線の学芸大学に住んでいて、その頃、日比谷線が東横線と東武伊勢崎線の直通乗り入れをしており、東横線側は日吉まで、東武伊勢崎線は竹の塚にまで乗り入れをしていたので、私が乗る日比谷線は北千住か竹の塚行きであったからである。さらに、高校時代の同級生が竹の塚出身であったことも、その名前を記憶させるきっかけとなった。確か、竹の塚中学出身であったと思う。彼の家に遊びに行ったことはなかったが、団地に住んでいると言っていた気がする。あと、大学時代の友人が柏の方に住んでおり、よく車で送っていたことがあったのだが、竹の塚の有名な開かずの踏切を何回か横断した記憶がある。その後、この開かずの踏切では人身事故などもあったりして、ニュースでも取り上げられたのは覚えている。

とはいえ、これくらいの記憶である。今回も、てっきり西新井より北千住側だろうと思っていたら、草加側であったので驚いたぐらいである。竹の塚の駅は工事中であった。これは、どうも踏切事故に対応しての高架化、ホーム大工事の一環のようである。とりあえず東口に降りると、目の前には大きなバスターミナルがあった。まるでJRの駅のようである。そして、目の前には大きな団地が聳え立っている。しかし、高層ビルはこの団地だけであり、新越谷や北千住の駅前にあるような高層の商業ビルは一切無い。とてもフラットな感じの駅前である。おそらく、ここに駅が出来た時は、この一帯は田んぼであったのだろう。

そして、多摩ニュータウンや田園都市線沿線のような郊外の臭いはしない。おそらく、昔から人々がここで農業などに営んできたからではないか。山や谷を無理矢理、開発した暴力性のような匂いは、お昼に訪れたからかもしれないが、私はあまり感じなかった。とはいえ、自然的な感じもせず、工業地区のような人工的な印象は受ける。練馬や板橋に感じる武蔵野らしさはまったく感じられない。むしろ、葛飾や江戸川といった千葉、利根川的な風土を感じる。

気づいたのは物価の安さであり、ランチ定食が500円で提供されている。大学の生協より安いのではないだろうか。さらに驚いたのは不動産の価格で、3LDKの70㎡ぐらいの集合住宅が1800万円ぐらいで買うことができる。23区内でこの安さは驚愕である。東京は不動産が高いと言われたりしているが、なんてことはない、東に行けば相当、安い。逆にいえば、ここで1800万円の値段で買わずに他で買いたがる消費者心理とは一体、どのようなものなのだろうか。駅の周辺だけをぐるぐる回っただけであったが、珈琲焙煎屋はあるし、比較的美味しい個店系のラーメン屋もあるし(ここで、昼食をした)、多くのチェーン店もあるし、スーパーは西友である。銀行も三菱東京UFJ銀行がある。すなわち、生活利便性という点だけでは、むしろ田園都市線沿線の駅に比べても何ら遜色はないように思えるのだ。やはり、治安が悪いということが、この物価の安さと関係があるのだろうか。とはいえ、定年退職後、お金に不安であれば、退職金でここらへんの安マンションに入ったら生き延びることはおそらくできるだろう。同じ23区ではあっても、目黒区に住んでいると不安になるが、竹の塚に行けば生き延びられるような気がする。

竹の塚は「足立区のマニラ」と呼ばれているらしい。実際、急行も停車しない私鉄駅であるにも関わらず、多くのフィリピン・パブが集積していた。ホスト・クラブもあった(これはフィリピン男性ではなく、日本男性が働いているような印象を与えたが、実態はどうかは不明だ)。とはいえ、乱立するこれらの水商売系のお店の看板はちょっと不快感を覚えさせはするが、治安が悪いといった印象までは与えない。まあ昼に訪れたからかもしれない。

とはいえ、私が勝手にイメージをしていた竹の塚と、実際、体験した竹の塚とは大きな乖離があった。もう少し、東武板橋のような町並みをイメージしていたので、その団地的景観、バスターミナルの大きさ、土地利用密度の低さ、フィリピン・パブなどが集積している乾きなどは、想像外であった。そして、何より、不動産をはじめとした物価の安さは感動的ですらあった。北千住も最近、注目されているし、そのうち、この値段の安さから考えると竹の塚の人気も上がるのではないかとさえ思った。その時、ジェントリフィケーションが起きて、フィリピン人が追い出されないといいのと、そうなると私が貧乏老人になった時に竹の塚にレヒュジーできなくなると困るな、と思ったりもした。まあ、そんな心配はいらないか。東京オリンピックが終わり、消費税が10%になったら、人口減少トレンドにある日本は、東京を含めて不動産大不況になることは間違いないと思われるからだ。

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(駅を降りて東口に出ると目の前に巨大な団地のような建物が屹立している)

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(やたら立派なバスターミナル)

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(駅周辺の商店街)

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(巨大な団地のような建物の裏には広大な駐車場が広がる)

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(駅の北口の踏切)

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(感動的に安い不動産)

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(これが悪名高い開かずの踏切。上下線で踏み切りのシステムが分かれているのは、なかなか鋭いアイデアだと思った)

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(フィリピンパブ多し。またホスト・クラブもあった。そういうニーズがある街なのかとも思うが、フィリピン・ホステスもこの不動産の安さだと住みやすいかと思う。)

タグ:竹の塚
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