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都市政策と地域政策を考える [地域興し]

私はカリフォルニア大学バークレイ校のDepartment of City and Regional Planning の大学院を卒業している。これを日本語に訳すと都市および地域計画学科になるであろう。このようにわざわざ都市および地域という名称にしているのは、都市計画と地域計画は異なるものであるからだ。都市計画は、自治体レベルでの計画であるのに対し、地域計画はより広域的な複数の自治体にまたがるような計画というものになる。

さて、しかし日本ではこの都市と地域というのがどうも曖昧のようだ。計画ではないが、政策という観点からは都市政策と地域政策の違いが必ずしもはっきりしていないようなのである。すなわち、地域政策は幾つかの自治体にまたがる「地域」を対象とした政策という意味ではなく、地方自治体の「地域」として捉えられているような印象を受ける。関連文献などを読むとそのように捉えた書き方が為されている。そうすると、都市・地域政策といった場合、都市の方がむしろ曖昧ということになってしまう。都市は一般的には自治体単位で捉えられるべきものである。京都といえば京都市であるし、小田原といえば小田原市であるし、弘前といえば弘前市である。しかし、それらは地方自治体であるので、それらの政策も地域政策として捉えられてしまう。地域政策学部という名称が大学で使われているのに、都市政策学部という名称が使われていないのは、政策学的に捉えると地方自治体のイメージを喚起させる地方という名詞の方が都市より通りやすいということがあるのかもしれない。

一方で計画だと都市が使われる。都市計画学科はあるが、地域計画学科はない。地域計画の英語訳であるRegional Planningがアメリカとかでは跋扈しているのとは対照的である。

この政策と計画とによって、用語の使われ方が違うということは、都市政策や地域政策の議論を曖昧模糊としているような気がする。ここらへんに関しては、これからも問題意識をもって考察していきたい。とりあえず、今日は備忘録というか、思いつきレベルのことを書かせてもらった。

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