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イギリス最南端のリザード岬を訪れ、イギリス政府の野蛮さと政府を信頼しないイギリスの底力を知る [サステイナブルな問題]

 イギリスの西南端にあるコーンウォール地方に来ている。「コンパクトシティ」という著書を編集したマイク・ジェンクス氏の家がこちらにあり、そこに日本版『コンパクトシティ』を執筆した海道先生と訪れ、二泊ほどさせていただいているからだ。中日にジェンクス氏が運転する車で、イギリス最南端のリザード岬に連れて行ってもらった。リザード岬はなかなか急峻な崖の上にあり、風光明媚な場所であった。昨年の夏に訪れたウェールズのアングルシー島の西端であるサウス・スタックに比べると、ちょっとスケールは小さいが、それでもなかなか見事な光景に心、奪われる。
 この日はまさに晴天で、海は美しいコバルト・ブルーに輝いていた。ここは岩が多く、多くの船が座礁したようだ。そのために、民間の救援隊が昔、組織されたのだが、これはヴォランティアだそうである。なんで、こういう大切な公共的な仕事に税金が使われないのか不思議であるが、それはサッチャー政権以前から民間がやってきたそうである。その組織の運営費は、救助された人の家族から払われたりするそうだが、結構、国として野蛮な印象を受ける。
 野蛮な印象といえば、このリザード岬への歩道は、すべてナショナル・トラストが整備、管理しているようである。ナショナル・トラストが存在しなければ、このような風光明媚な自然観光資源に歩道で行くことはできない。イギリスはライト・オブ・ウェイという概念があり、そのような公共的な権利に関しての考え方はしっかりしていると思われるが、車道だけで歩道がなければ、実質的には危なくて安心して歩けないし、自動車がいつ現れるかと思うと歩いていても楽しくない。そういうことで、イギリスにおいて自然や歴史遺産などをしっかりと鑑賞し、アプリシエイトするうえでナショナル・トラストの存在というのは大きいな、ということを認識したのだが、その運営にあたっては、会費に因っているそうだ。会員になると、例えば歴史建築物の入場料が無料になるとかの特典があるそうなのだが、それを支持して、結構、高い会費を払う人々が存在しないと成り立たない。民度が問われる、ということだ。
 日本でもナショナル・トラストと似たような組織があるが、あまり活動していることを寡聞ながら知らない。どうしてイギリスではナショナル・トラストがしっかりと機能していて、日本では今一つなのか。ちょっと興味が湧く。その一つの理由として、日本人はイギリス人に比べて、国家を盲目的に信用し過ぎているのではないだろうか。自分のことは自分でやる。国がやらなければ、自分達でやる。そういう動きが求められているような気がする。もちろん、日本でもそのような動きをしているNPOが多く存在したりするが、現状の日本政府や地方政府の駄目さ加減を考えると、これらNPOがより活発に活動していくことが今後、さらに求められるのではないか、というようなことをイギリスの最南端で考えた。

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(ナショナル・トラストによって歩道が整備されている)

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(コバルト・ブルーの美しい海)

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(昔、ヴォランティアの救助隊の基地であった建物の廃墟)

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(多くの船がここで座礁した)

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(イギリスの南端は風光明媚な絶壁であった)

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(周辺は羊の放牧地)
タグ:リザード岬
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