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『エクス・マキナ』 [映画批評]

久しぶりに凄い映画を観た、というのがとりあえずの感想。2015年に公開されたイギリス映画。人間とAIとの騙し合い、というか相手の心(AIに心があればだが)の裏を読み合う、という展開が非常にスリリングで画面に強烈に引き寄せられる。まるで、チェスのように相手の真意を探り合い、また相手を騙すように誘導する会話群。これは、第一級の心理サスペンス映画である。さらに、この映画を傑出したものとしているのは、その素晴らしい映像美である。AIのエヴァ(アリシア・ヴィキャンデル)のセクシーさは、空山基が描くサイボーグのようである。アカデミー賞の視覚効果賞を受賞したのも納得させられる。ガーランド監督は、「登場した瞬間、他の映画に登場する他のロボットを思い浮かべない外見にすることを先ず重要視した」と話したそうだが、確かにとても斬新な外見であり、そしてとても魅力的でもある。これは、それを演じるアリシア・ヴィキャンデルの魅力とも繋がるであろう。映像美という点では、ネイサン社長の召使いをしているキョーコ(ソノヤ・ミズノ)というAIも大変美しく、その優雅な動きなどもヴィキャンデルとともに、AIという存在感の凄みを感じさせるような描写に繋がっている。2人の女優とも元バレリーナであるが、気弱そうな青年を演じる主人公といいキャスティングも絶妙である。また、映像美という点ではロケ地であるノルウェーのフィヨルド地域の自然美も素晴らしい。そして、何よりエンディングが痛快で、納得が行く。まあ、よく考えると不安な気持ちにはなるが、映画単体として観た場合、ストーリーは説得力があって読後感的なものは爽快である。私的には、『ブレードランナー2049』をも越えるほど面白かった。こういう作品にたまに出会ってしまうから映画は止められない。


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