マッチポイント [映画批評]
ウディ・アレンの2005年の作品。「ミッドナイト・イン・パリス」、「ローマでアモーレ」、「それでも恋するバルセロナ」など、ヨーロッパ大都市ロケ編の嚆矢となるロンドン版。相当、ハラハラさせられる展開に、ちょっと驚きの結末。いや、この結末は「ウディ・アレンの重罪と軽罪」と似ているので、それを観たことがあると、それほどまでは驚かないかもしれないが、そうでないとやられたと思うかもしれない。映画の重要なシーンにて流れるオペラが重苦しく、アレンのシニカルな側面が強烈に出た作品ではあるが、そのストーリーの組み立ては素晴らしく、画面に引き込まれる。しかし、このシニカルさはアメリカ人的ではなく、むしろこの映画の舞台となったイギリス人的である印象を強く受ける。