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縮小自治体に求められるのは役場の「本気度」という話 [サステイナブルな問題]

 地域活性学会のパネル・ディスカッションを拝聴する。島根県の海士町、雲南市、浜田市、邑南町の発表を聞いたのが、傾聴に値するのは海士町と邑南町だけのような印象を受けた。この二つの自治体は、問題の深刻さが違うからかもしれないが、本質的な問題解消のためのアプローチを採っているという印象を受けたが、浜田市と雲南市はどちらかというと机上の空論的な印象、地に足が着いていないような印象を今でも受ける。浜田市はシングルパレンツの取り組みで興味深いことをしているが、その主張が400万円も補助金をつけているということだった。それって、市民が一人当たり80円を補助するということだ。80円というとそれほど大きくはないかもしれないが、それだけのメリットが本当にあるのか。国の補助金を使うにしても、その補助金の多さで、その事業の大きさを伝えようとする取り組みに私は懐疑的な眼差しをもってみてしまっていた。ちょっと、このような備忘録だけで書いてしまうのは、無責任かもしれないが、海士町と邑南町は、その問題を自らのものとして意識し、自ら問題解消に取り組んでいる。それに比して、浜田市や雲南市は、補助金を当てにしたり、ふるさと納税を当てにしたり、内発的に発展するようなシステムをつくろうとしていない印象を受ける。外部依存をしている限りは、地方の衰退というトレンドを反転させることは難しいのではないだろうか。これは、徳島県の神山町や、広島県の尾道市、長野県の小布施町、などでも感じたことである。
 このパネル・ディスカッションの最後の方で、海士町のパネリストが、「何しろ重要なのは役場の本気度」と述べられたが、それは私からすると雲南市や浜田市の人への皮肉のようにも聞こえた。いや、それは私が聞こえただけで、実際はそのようなことを意図してはいなかったかと思うが、まあ、この「本気」ということが何しろ地域が問われていることではないかと思われる。邑南町の町長もまさに、この「本気度」が重要であるかを最後の発言で問うた。彼は島根県立大学の本気度の弱さを、早稲田大学の本気度と比較して指摘していた。「島根県には公務員と銀行しかありませんと言っていたら、島根県は潰れてしまいます」とまで言った。これは、これまで相当のフラストレーションと理不尽を体験した人だからこそ出てきてしまった本音であろう。興味深いパネルディスカッションであった。

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