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「ファンタジア」(星降る島) [宇宙団]

 「星降る島」は無駄曲がない素晴らしい傑作アルバムであると思うが、その中で何が最も好きかと尋ねられたら、「ファンタジア」か「ワルツ」か「Tour」のうちの一つを選ぶであろう。この3曲はどれも甲乙つけがたく、その時の気分で選ぶ曲が変わるような気がする(などと言いつつ、「恋は宇宙」を聞くと、すげーと思ったりする時もある)。さて、しかし、どの曲が望月の才能の凄さを知らしめるかというと「ファンタジア」になるであろう。
 宇宙団の曲は他もそうであるが、4分ぐらいの短い時間に、凄く濃密なメロディと歌世界を押し込むことを可能にしている。それは万華鏡のごとくであり、聴く者の心をぐいっと惹きつける。また、それがじっとしないで、次々と美しい模様を見せるように展開していくので、聞いていて飽きない。これは、同じメロディを分散コードで弾いてじらしにじらすコールドプレイなどとは対極の曲作りで、コールドプレイのような一瞬のカタルシスでは負けるかもしれないが、常にカタルシス感を与えてくる、というとてもサービス精神のあるバンドである。
 そして、また私が「ファンタジア」が好きなところは、歌詞といい、曲といい、ギターの演奏といい、望月が人々のニーズなどを意識しないで、等身大でその類い稀な才能に任せて曲作り・歌詞作りをしているような印象を与えることである。こういう曲をつくっていれば私は、宇宙団は成功すると思う。
 「お月様がラッパを吹いてぱららっぱららっぱららっぱ」
 何とも素晴らしい歌詞と音世界ではないか。私はこの曲を聴くと、なんか初期のキング・クリムゾンの楽曲を思い出してしまうのだ。特に後半部のギター・ソロからキーボードが被さってくるところなんか、あまりの才能の凄さに、涙が出てしまう。というか、この曲を作っただけで望月は人類に多大なる貢献をしたのではないかとさえ思ってしまう。その才能の凄さには、私も嫉妬(私もいちおうですが作曲家なので)などを越えて、その才能との出会いに感謝してしまうぐらいである。
 この曲は近々、プロモーション・ビデオが作られるそうである。この曲は凄い。椎名林檎とまでは行かないが、くるりの岸田クラスの才能かもしれない、と冗談ではなく思わせられる。

https://www.amazon.co.jp/dp/B01MUQTCT0/ref=dm_ws_tlw_trk6


星眠る島

星眠る島

  • アーティスト:
  • 出版社/メーカー: わびさびレーベル
  • 発売日: 2017/01/11
  • メディア: CD



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