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スローシティのオルヴィエートを訪れる [サステイナブルな問題]

イタリアのスローシティ協会の本部があるオルヴィエートを訪れる。オルヴィエートはローマとフィレンツェの中間にある人口2万人ほどの町である。フィレンツェからインターシティの列車で行くと、2時間ちょっとで着く。ローマからだと1時間ちょっとなのでローマの方が近い。
 オルヴィエートは太古の火山活動による大爆発によって生まれた円錐形の断崖の上に立つ町である。それはまさに天然の要塞であった。さらに1970年代に、この町の下には地下都市があることが発覚した。それは、ローマ人に駆逐される以前のエトルスクの人達が使っていた貯水槽、その水を運ぶための地下道、さらに時代が下がるとオリーブの搾油所、鳩舎の跡などであった。このような地下洞窟は1200も存在することが現在では分かっている。傍からみると堅牢な要塞のようなこと町は、その地下はしかし穴だらけのスポンジのようなものだったのである。
 このようにオルヴィエートは極めて特異な地理的特性を有する都市である。したがって、アクセスは大変である、というかユニークである。要塞から東に位置するオルヴィエートの鉄道駅を降りると、オリヴィエートにはケーブル・カーで行かなくてはならない。このケーブル・カーは1.3ユーロであるが、もうこれに乗った時点で気分はスローになってくる。値段の安さもあるが、日本の観光地のように格好よいケーブル・カーではなく、なんかユルい感じのケーブル・カーであくせくしていない。もう一つ、この要塞都市にアプローチするのは、西側の二層の駐車場から地下のエスカレーターを乗り継いで登ってくる方法である。ただし、このエスカレーターを結ぶ舗道は階段であったりして、まったくユニバーサル・デザインに対応していない。もちろん、自動車で壁を登ってくるルートも確保されているが、それはこの要塞で生活している人か物販を届ける人だけなのではないだろうか。確認していないが、そのような気がする。二日間いたがタクシーを町中で見ることはなかった。ただし、鉄道駅と町とはシャトルバスでは繋がっている。
 さて、このオルヴィエートは1999年にスローシティ連合ができた時、当時の市長が初代会長になったことで、スローシティとしてもその名を知られることになる。初代会長となったチミッキ市長は「人間サイズの、人間らしい暮らしのリズムが残る小さな町」とオルヴィエートを形容していた。
 ということで、スローシティというコンセプトもよく分からないのでオルヴィエートを訪れたのだが、印象に残ったのは人口2万人(旧要塞都市に住んでいる人は6千人ぐらい)の町には全くそぐわない立派な大聖堂。これは、白、黒の岩をシマウマのように交互に配置してつくられている。正面は、ピンクや青色の大理石が使われて、大変豪華なものである。ちょっと、フィレンツェの大聖堂を彷彿させる。
 そして、前述した地下都市。これはツアーで行くことができる。ツアー代は6ユーロ。英語でのガイドは、結構、博識でいろいろと勉強になる。
 ただ、このようなイタリアの歴史都市の売りである街並みの美しさは、あまり感心しなかった。というか、街並みを美しく化粧する、という意識が伺えない。それは、それで一つの考え方かもしれないが、外国人の観光客からするとちょっと興醒めではある。あと、オルヴィエートは白ワインが非常に有名なようなので、私もワイナリーで試飲をさせてもらったり、昼、夜、昼とワインを飲んだりしたが、ガツーンと来るようなワインにはまったく出会えなかった。これは、あまり高いワインを注文しなかったからかもしれないが、正直、ドイツのデュッセルドルフで飲んだ白ワインの方が個人的には美味しいと思われる。ただ、私の舌はいい加減なので、もちろんいい加減な感想にしか過ぎない。ワインを売りにするのであれば、まあ私のような舌音痴でも、ひれ伏すようなワインを飲ませるべきであったと思う。いや、分からないのであれば、分からないことを自己嫌悪させるような演出をすべきであろう。
 また、スローシティというと、美味しい料理が食べるということが何よりもポイントであると思うが、残念ながら「参った」というような料理に出会えることはなかった。これは、次回に整理するが、このワインを含む料理でそれほど来る人を感心させることができなければ、スローシティの街づくりというのも結構、難しいのではないかと思ったりした。もちろん、私が間違えていただけなのかもしれないが、そうであれば、私のような人間が参りましたと思うようなメニューを提供してもらえると有り難い。などと書いていて、このような考えこそがスローシティとまったく反していることなのではないかとふと頭に浮かんだ。
 
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(鉄道駅からオルヴィエートに行くためには、ケーブルカーに乗らなくてはならない)

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(オルヴィエートの崖下には600台が収容できる駐車場が設置されているが、そこからは地下のエスカレーターで町にアクセスする)

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(オルヴィエートの街並み)

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(オルヴィエートの街並み。スローシティという印象を与える)

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(人口2万人の都市とは思えないほど立派な大聖堂)

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(オルヴィエートの肉屋。ここではワインを飲んで、チーズや生ハムなどをつまみとして注文することもできる。)

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(オルヴィエートのレストランで注文したチーズ盛り合わせ。これは流石イタリアと思わせるぐらいの美味しさ)

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(オルヴィエートのレストランで注文した料理。美味しいけれど、感動するほどではなかった)

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(昼ご飯で訪れた定食屋。ワインを注文したら生ハムをサービスで切ってくれた)
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