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トランプ大統領が民主主義に与える最大のダメージは「真実の無視」であろう [トランプのアメリカ]

 トランプ大統領の醜悪さは、多面に渡っている。ちょっとした批判をも受け入れられない心の狭さ、人種差別・性差別的な思想、公私の利益の混同、政治家としての交渉力のなさ、ライバルへの罵詈雑言、思慮なく自己抑制のできない気性・・・しかし、トランプ大統領のおそらく最悪の特徴は、トランプにとって都合の悪い「真実」を「嘘」であると人々に平気で公言できることであろう。
 そして、それらの「嘘」を事実ではないと報道するマスメディアを「抵抗勢力」といい、スティーブ・バノン首席戦略官はニューヨーク・タイムスに「メディアは黙っていろ」と述べた(https://www.youtube.com/watch?v=NH-HKGvlXqk)。このようなことを大統領の首席戦略官が公言するのは、非常識甚だしく、もはやアメリカはナチス政権のような言論統制をしようと考えているかのようだ。
 アメリカの民主主義の根幹は、表現の自由である。合衆国憲法修正第一条では、言論・出版・平穏な集会の自由が認められている。第一条に掲げられていることからも、それはアメリカ合衆国という国家の根幹をなすアイデンティティであるとも捉えられる。
「合衆国議会は、国教を制定する法律もしくは自由な宗教活動を禁止する法律、または言論・出版の自由もしくは人民が平穏に集会して不満の解消を求めて政府に請願する権利を奪う法律を制定してはならない。」
 本当に恐ろしいのは、このような「事実」に目を背け、嘘のフレームワーク(トランプ政権はAlternative Truthと名付けたが、言い得て妙である)を構築し続けるトランプ政権を支持して、マスコミをまったく信用しないアメリカ人が驚くほど多くいることである。アメリカにも2チャンネラーのような人達が多くいて、これらの人はマスコミが報じる「事実」を最初から嘘であると捉えているようなコメントを多く、ネットにアップしている。それは、狂信的な宗教の教祖が言うことを絶対であると信じているような信者のようにしか見えない。それは、傍からは狂気の沙汰のように映る。個人的にはこちらの動きの方がトランプよりも遙かに恐ろしい。
 映画監督のマイカル・ムアーはトランプこそが「偽のニュース(Fake News)の生みの親(Godfather)」であると指摘していたが、オバマはアメリカ生まれではなく、大統領になる資格がないというデマをまき散らしいていたトランプは、まさに元祖デタラメ野郎である。そのような人がマスコミの報道は嘘だらけだと言っているデタラメを素直に信じてしまっているアメリカ人があまりにも多い。最近でも世論調査で、トランプの就任式の参加者数が史上最大というトランプ側の主張の方が、オバマに比べて遙かに少なかったと証拠写真付きで報道するマスメディアよりも真実であると考えると回答した人が18%いた。いや、18%は低いが、逆にあれだけ火を見るより明らかな嘘をアメリカ人の6人に1人が本当だと考えているのは恐ろしいことであると思う。
 意外と真実をしっかりと見極めることができる人が少ないというのは私も最近、実感していることだ。この真実をしっかりと理解できる能力こそ、人類が生き延びていくうえで真に必要な能力なのではないだろうか。日本も他山の石としてしっかりとしないと、大変なことになるだろう。そして、この状況をどうにか是正することができなければ、アメリカという国は凋落の一途をたどるであろう。その時、他の国をお願いだから巻き込まないで欲しいが、その可能性は低いであろう。



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