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トランプのマス・メディアへの挑戦は、民主主義への冒涜以外の何ものでもない [トランプのアメリカ]

 トランプ次期大統領は民主主義下の選挙によって(ロシア政府によるハッキングの支援はあったかもしれないが)大統領に選ばれた訳だが、彼は一生懸命に民主主義を壊そうとしているかのようだ。
 民主主義とは、諸個人の意思の集合をもって物事を決める政治体制である。これがしっかりと機能するためには、諸個人がしっかりとした意思を有することが不可欠であるのだが、そのためにはマス・メディアが公正な事実を伝えるという役割を果たさなければならない。これは、民主主義と社会主義の大きな違いであり、私がいろいろな問題がありつつも民主主義の方がましだな、と思う大きな理由であったりもする。
 さて、その民主主義国家の大統領となれば、そのような民主主義が機能すべき条件を死守することが当然であると思われるのだが、彼はCNNのように極めてまともなマス・メディアを「デタラメニュース」と呼び捨て、取材会見にてCNNの記者に質問さえさせなかった(下記の動画参照)。
http://edition.cnn.com/2017/01/11/politics/donald-trump-press-conference-highlights/index.html
 CNNはトランプ次期大統領に都合の悪い「真実」を報道しているが、それを報道しているのは、それが「事実」であるからだ。トランプ大統領は前回のブログで書いたが、自分の都合の悪い情報は、それを「歪曲」して人々に伝える。ツイッターというメディアを駆使するトランプは、自分自身が情報の発信源となり、自分の都合のよいように情報を加工し伝えるのである。そして、悲しいことに多くのアメリカ人がその情報をもとに状況を判断しようとしている。加えて、先のCNNの動画からも分かるのは、トランプ次期大統領がCNNの記者に質問さえさせず、この記者が「That is not appropriate (それは適切ではありません)」と抵抗しているのを冷酷に無視するトランプの対応に取材会場から拍手が起きていることだ。この拍手をしているのは、マスコミ関係者であると思われるのだが、その人々は、それはマスコミ全体の危機をもたらす深刻な事態であることが分からないのであろうか。私はトランプの対応の酷さに愕然とするのと同時に、この拍手をしている人達がいることに強いショックを受けた。おそらく、このように拍手をしている人達によってトランプは当選したのであろうが、マス・メディアが機能不全に陥った時は、民主主義も死ぬ時である。もちろん、民主主義でなくても御用メディアは必要であろうが、それはもはやジャーナリズムではない。それが理解できているから、右翼系のFOXニュースのアンカーであるメーガン・ケリーはトランプと強く対立しているのだ。
 しかし、アメリカのマス・メディアはまさに大変な危機的状況にある。ここが正念場であるし、アメリカのマス・メディアがトランプにしてやられたら、それはアメリカという国が大きく瓦解するターニングポイントになるであろう。「アメリカの民主主義」対トランプという4年間に及ぶ戦いが今、火ぶたを切った。そして、その戦いの火の粉から日本人も逃れることはできないであろう。

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