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赤岳(日本百名山登頂21座)・・登山日2016年10月22日ー23日 [日本百名山]

 八ヶ岳の赤岳にチャレンジすることにした。土曜日の朝4時30分頃、目黒区にある自宅にゼミの卒業生に自動車で迎えにきてもらい、そのまま美濃戸までむかう。朝ということもあり、ほぼ渋滞もなく、美濃戸に着いたのは8時頃。準備をして出発したのは8時30分頃である。美濃戸からは北沢と南沢と二つのアプローチがあるが、ここは南沢を取る。沢沿いの深い樹林帯を進んでいく。南沢の渓流が美しい。時折、周辺の山々が展望できる。紅葉している山肌が美しい。10時30分頃には河原が開け、横岳が目の前に見える。八ヶ岳に来たな、というのを実感する。ただし、河原に出ると猛烈な悪臭が漂っている。テントからの糞尿の臭いである。これはたまらない。とはいえ、他にルートもないので鼻をふさぎながらも登っていく。

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(登山口の朝日に照らされたススキが美しい)

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(南沢の深い森の中を歩いて行く)

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(美しい渓谷に沿って行く)

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(時折、姿を見せる紅葉に染まった山肌が美しい)

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(行者小屋に近づくと河原が広がるが、同時にとんでもない悪臭が漂ってくる)

 昼ご飯のスポットである行者小屋には11時頃に到着。出発地点から2時間30分ぐらいである。すでに、ここは標高2345メートルである。とはいえ、出発点の美濃戸が既に1700メートルはあるので、まだ650メートルぐらいしか登っていない。この小屋は、おでんとカレーが有名。ということで、おでんとカレーを両方注文する。カレーはインド・カレー、おでんは巾着、こんにゃく、大根、卵を注文。カレーは900円、おでんは550円也。カレーはトマトを随分と使ったような印象を受けるが、スパイスを上手く使っていて結構、美味しい。おでんもコンビニエンス・ストアのおでんよりは美味しいと思う(私は生まれて一度もコンビニエンス・ストアのおでんを食べたことがないので、これは想像でしかない)。珈琲は私が持参したインスタントのドリップ式のものを3人で分けて飲む。

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(行者小屋)

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(ここはおでんが有名らしい)

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(私が食したのはインドカレー)

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(行者小屋から望む横岳)

 さて、ゆっくりと休憩もできたので、再び登り始める。大変急な傾斜を登らなくてはならないのだが、行者小屋を抜けてもしばらくは坂がなだらかなままだ。かえって、そのなだらかさに不安になる。その不安が相当、強くなってきた頃に、ようやく階段が出現した。とはいっても、私がイメージしたものより緩やかな普通の傾斜の階段である。こんなペースで、どうやって標高差を稼ぐのかと危惧は募るばかりだ。そしたら、遂に鎖の急坂が出現した。この鎖の急坂を登り終えると梯子に直面する。八ヶ岳はまさに屏風のような山塊であるが、これに登るには、この屏風をほとんどロック・クライミングの用に這い上がっていかなくてはならないのだ。標高が高いこともあって酸素が薄く、私の呼吸は激しくなる。呼吸が整わないまま、梯子と鎖で高度を上げていく。何か考えると、足が止まるので、無我の境地になってひたすら登っていく。すると可愛いお地蔵さんが目の前に現れた。地蔵の頭に着いたのだ。目の前に金峯山や瑞垣山、そしてその手前に紅葉で色づいた清里の高原が広がる。絶景だ。ここからは、我々の宿泊先である赤岳天望荘も目の前だ。赤岳天望荘に到着したのは13時20分。

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(地蔵の頭が近づくと、坂もほとんど壁のように急になり梯子でしか登れない)

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(地蔵の頭周辺の急坂を振り返ったところ)

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(地蔵の頭に到着。あと少しで赤岳天望荘だ)

とりあえず、赤岳天望荘にチェックインをして荷物を置いて、赤岳へとチャレンジする。明日、登頂する予定であるが、明日は天気が崩れているかもしれない。若干曇り気味であり、風も強いが富士山は見える。赤岳は360度の絶景であるという。体力的には相当、バテもみられたが、水とカメラだけを持って登ることにした。赤岳までのルートは鎖場の連続であり、相当の急坂を登っていく。標高が高いこともあり、激しく息をしてしまい、ちょっと休んでも落ち着く気配がない。酸素が少ないので身体が過敏に反応しているのであろう。とはいえ、ここで登らなくては明日、悔やむことになるかもしれない、との危機意識から気力で高さを稼ぐことにする。さて、どうにか気力で頂上に登ると、まさにガイドブックに書かれたような360度の絶景がそこからは望むことができた。東には瑞牆山、金峰山、甲武信ヶ岳、北には浅間山、四阿山、横だけをはさんで蓼科山、さらに西を見れば北アルプス。この日は槍ヶ岳がしっかりとそのシルエットを見せていた。そしてその南には乗鞍岳と御嶽山。御嶽山はもの凄い存在感である。その手間には木曽駒ヶ岳を中心に据えた中央アルプス。南には南アルプスがそびえ立ち、仙丈ヶ岳、甲斐駒ヶ岳、北岳がその堂々たる雄姿を見せている。登頂時刻は15時。
 下りも相当の斜度なので気をつけなくてはならない。鎖をうまく使って降りていく。16時前には宿に戻る。

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(富士山も素晴らしい雄姿を現した)

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(赤岳の山頂が近づいてきた)

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(赤岳山頂)

 赤岳天望荘は、個人部屋もあり料金は1万2千円と高かったが、他人と泊まることと比較すると本当快適である。夕食は17時からであったが、ほぼ1時間爆睡する。後で振り返れば、この時点で既に高山病になっていたのかもしれない。夕食はバイキングで、それほど美味しくはないが、山小屋ではエネルギーになるものは何でも有り難い。とはいえ、ここで美味しいと思わなかったのは高山病ということかもしれない。夕食を取ったら、そそくさと寝る。
 翌日、4時頃に起きる。9時間ぐらいは寝ているはずなのだが、全然、眠気が取れない。しかも頭痛もする。これはちょっと調子が相当、悪い。朝食は5時。まったく食欲がない。とはいえ、無理をして食べる。気持ちも悪いし、まさにこれは高山病の症状そのものである。これは、もう登れないかもしれないと絶望的な気分になる。
 日の出は5時50分頃であった。曇りとの天気予報に反して、天候は素晴らしかった。食事後、これは滅多にないチャンスと思い、気持ち悪いのを我慢して、写真を撮影する。さて、しかしちょっと動いていたら気分が快復してきた。せっかくなので、頑張って昨日に続き赤岳に登る。7時頃に出発する。なぜか、登り始めたら気分の悪いのが払拭されて、むしろ昨日より好調なペースで登ることができた。7時45分頃には山頂に着くことができた。赤岳山頂からの展望は昨日よりさらに優れており、朝日を浴びた阿弥陀岳、横岳が美しい。遠く恵那山から御嶽山、乗鞍岳から槍ヶ岳までを遠望することができる。素晴らしい。

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(赤岳天望荘からみる日の出時の富士山)

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(金峰山周辺から日は昇ってきた)

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(素晴らしい展望)

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(周囲の山々も朝日で赤く映えているのが美しい)

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(朝日を浴びた横岳)

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(昨日に続いて今日も赤岳に挑戦)

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(改めてすさまじい坂である)

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(赤岳頂上から富士山を望む)

 さて、これなら阿弥陀岳までチャレンジできるという気持ちになり、赤岳を下りて中岳経由で阿弥陀岳にチャレンジする。赤岳から中岳までは相当の急坂で、結構、注意を要する。鎖をうまく使って降りていく。中岳には9時15分頃に到着。中岳を越えると、阿弥陀岳と中岳道の分岐点に出る。ここで荷物やカメラを置いて、阿弥陀岳にチャレンジする。カメラを置いておくのは相当、躊躇したが、憂いのない状況でいかないととても登れないほどの急坂である。すべての力を出し切るような気力をもって望む。鎖場とガレという何とも難しい難所であるが、どうにか阿弥陀岳の上まで登ることができた。この阿弥陀岳からの展望も360度の素晴らしいものであった。天気も晴天であり、これまでの苦労が報われる。

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(赤岳から阿弥陀岳を望む)

 気をつけて坂を下り、分岐点に到着。分岐点を発ったのは11時頃。中岳道を降りていく。ちなみに中岳道は、梯子はおろか鎖もなく、非常に楽に降りていくことができた。行者小屋に着いたのは11時30分。しかし、ここはそのまま通り過ぎて、帰りは行きと違い赤岳鉱泉経由で北沢沿いに美濃戸に戻ることにする。これは、南沢は行者小屋を過ぎた後に前述したように強烈な悪臭がしていたからである。

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(中岳道で降りていく)

 赤岳鉱泉に着いたのは12時。赤岳鉱泉は行者小屋と比べても随分と清潔感のするいい感じの山小屋であった。行きと同じようにカレーを昼食で食べる。ほぼ同じコンセプトであり、おそらく同じレシピなのではないかと推察する。なんか炭酸ジュースが飲みたい気分になって、オレンジーナを注文したら400円もした。失敗だ。北沢は南沢に勝るとも劣らない渓谷美であり、急峻な坂を登るのとは違う楽しみを味わうことができた。このアルパインな環境が八ヶ岳の魅力なのだろう。美濃戸に戻ったのは14時20分であった。

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(赤岳鉱泉)

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(赤岳鉱泉でのカレー。行者小屋とほぼ同じ)

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(北沢は南沢に劣らず美しい。北沢の方が乾いている印象)

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(登山口の美濃戸に着いたのは14時ちょっと過ぎ)

 生まれて初めて訪れた八ヶ岳であったが、大変素晴らしい体験ができた。また、高山病になりそうであったが、それでも八ヶ岳を登れたことは大いなる自信に繋がった。あと79座であるが、来年も今年と同様に8座ぐらいを達成したいという気持ちになった。
 

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