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ボブ・ディランのノーベル賞受賞でちょっと考える [ロック音楽]

ボブ・ディランがノーベル賞を受賞した。多少、驚いたが詩人としての才能、彼が世の中に与えた影響力の大きさを改めて思い知らされた。さて、しかし、日本人はどの程度このボブ・ディランの歌から影響を受けたのであろうか。というのは、ロック音楽の歌詞というものは、メロディに乗っかることで、受け手は相乗効果的に感性を揺さぶられる効果があるのだが、これは歌詞が聞き取れなければ、その効果は半減というか、ほとんど無に等しくなってしまうからだ。これは、同じように歌詞がそのメロディの秀逸さとともに優れている椎名林檎の歌のよさを、なかなか外国人が理解できないことを考えれば納得できるであろう。すなわち、ボブ・ディランの詩の凄みというものは、右脳で理解してこそ、その偉大さが分かるのであるが、翻訳などを通じて左脳的に理解する日本人は、それを英語が母国語であるような人たちのようにアプリシエイトできないと私は思ったりするのである。そんな英語が聞き取れない人たちが、ボブ・ディランの真の価値を理解することが果たして可能なのだろうか。私は、ちょっと嫌われそうなことを書いているかな、との自覚はあるが、敢えて問題提起したいと思ったりする衝動を抑えられない。

もう一つボブ・ディランのノーベル賞受賞が示唆することは、ボブ・ディランが受賞できるのであれば、その裾野はロック界に大きく広がり、候補は相当、増えるということである。すぐに思いつくのは、ポール・サイモンである。私としては、ボブ・ディランなんかより、遙かに叙情性にあふれ、美しい歌詞を紡ぎ出してきたと思う。もちろん、パイオニアとしての位置づけは、ボブ・ディランに劣るかもしれないが、その歌詞、さらにメロディ・メーカーとしての天賦の才はボブ・ディランに勝るとも劣らない。
Hello darkness my old friend, I have come to see you again (Sounds of Silence)
という歌詞のインパクトの凄さ。“Still crazy after all these years” の歌世界の、どうしょうもないような人を愛することの切ない苦しみ。そのような音と言葉の世界をつくらせたら、ボブ・ディランよりもポール・サイモンの方が個人的には優れていると思う。
 さらに、Bruce Springsteenの歌詞と曲の、こう人の心を揺さぶらせるパワー。Born to Runは、どんなボブ・ディランの曲よりも、少なくとも私にとっては影響力を有していた。
 別にボブ・ディランのノーベル賞受賞に難癖をつけるつもりは毛頭もないが、彼の受賞は、そのような多くの人たちに可能性を広げたことを認識し、彼だけが、ロック界の重鎮の中で傑出した存在ではない、ということを認識しておいた方がいいと私は思うのである。生きていれば、John Lennon やBob Marleyもおそらく候補に挙がったであろう。そして、これは個人的な見解ではあるが、日本では椎名林檎もノーベル賞候補になると思われるのである。もう一人をあげるとしたら、中島みゆきか。

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