井堀利宏『大学4年間の経済学が10時間でざっと学べる』 [書評]
「1日で学べる」とかいう類の本はほとんどいい加減なのだが、本書は確かに10時間ぐらいの読書時間で、大学で教える経済学のエッセンスがざっと理解できる、という構成になっていて、「看板に偽りなし」と言えるのではないかと思われる。もちろん、何も知らないでこれを10時間でよんでも理解できないかとは思うが、ある程度の経済的な素養、教養があれば、さっと理解することができるであろう。もちろん、「コースの定理」とか、言葉は出てきても具体的には一切、説明がされていないような点は不十分だが、これは逆にいえば「コースの定理」は、内容はわからなくても、ざっと経済学を理解するというレベルでは言葉さえ知っておけばいいということなのかもしれない。おおまかに大学で教えるレベルの経済学を概観するのには、無駄がなく、エッセンスが凝縮されている良書であると思われた。