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東京新聞の社説(7月22日)でのトランプ氏の批判は的を外している [グローバルな問題]

 本日(7月22日)の東京新聞の社説は、トランプ氏を米大統領選候補に指名した共和党が深刻な亀裂をさらけだしていると指摘していた。そして、採択された政策綱領が、「不法移民対策でメキシコ国境での「壁」の建設を支持」したことは、「少数派排除の主張」であると述べている。そして、「共和党は二〇一二年の前回大統領選の主な敗因を、ヒスパニック(中南米)系など少数派の取り込みに後れを取ったと総括した」ことを指摘し、「共和党は前回選挙の教訓を忘れてしまったのだろうか」と締めることで、あたかもメキシコ国境の「壁」は、アメリカで選挙権のあるヒスパニック系の反発を得るかのような解説をしている。
 このようなヒスパニック系の理解は間違っている。というのは、アメリカ人の平均に比べても、アメリカで選挙権のあるヒスパニック系はメキシコ国境に壁をつくることに賛成しているからだ。壁がつくられることに反対なのは、アメリカに住んでいない、将来アメリカに移住しようかと思っているメキシコやニカラグアなどのヒスパニック系であって、移住してしまったヒスパニック系の人達は、むしろ、これらの人に来てもらいたくないと考えている。ちょっと考えればすぐ分かると思うのだが、このような人達は自分の祖国が嫌だから抜け出したのである。祖国に対して多少の感情は有しているかもしれないが、アメリカと祖国でアメリカを選んだ人達なのである。しかも、人によっては命がけで脱出したような場合もあるだろう。
 そして、アメリカで無事、生活できるようになっても、人種差別等でなかなかアメリカに同化することは難しい。その同化の努力をしている中で、同朋とアメリカ人に思われているような人達が、アメリカの顰蹙を買うのは迷惑以外の何物でもない。アメリカで生活しているヒスパニック系にとって、新たに移民してこようとするヒスパニック系の人々は自分達にとって邪魔者以外の何物でもない。もちろん、自分達の家族や親戚、友達などの移住は協力したいと思っているが、それ以外のマジョリティに対しては反対なのである。
 そういう深層が分からずに、トランプを批判しているだけでは、なぜあれほどトランプが支持されているかが分析できる訳がない。

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