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『社会的共通資本』宇沢弘文 [書評]

ノーベル経済学賞候補にもなったという噂もある日本を代表する経済学者宇沢弘文の新書。社会的共通資本とは「一つの国ないし特定の地域に住むすべての人々が、ゆたかな経済生活を営み、すぐれた文化を展開し、人間的に魅力ある社会を持続的、安定的に維持することを可能にするような社会的装置」である。本書は、この社会的共通資本の考え方と役割を解説し、その重要な構成要素である自然環境、農村、都市、教育、医療、金融といった個別な事例をとりあげ、持続的な経済発展が可能になるためには、どのような制度的前提条件がみたさなければならないか、著者の考えが提示されている。ただ、これらは新書にまとめられるような内容ではなく、そういった意味では社会的共通資本はどのような考え方ぐらいは分かるが、持続的な経済発展の可能性といった著者の考えは別書を参照することが必要である(例えば東京大学出版会の『社会的共通資本』など)。


社会的共通資本 (岩波新書)

社会的共通資本 (岩波新書)

  • 作者: 宇沢 弘文
  • 出版社/メーカー: 岩波書店
  • 発売日: 2000/11/20
  • メディア: 新書



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