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『孤独のグルメ2』 [書評]

 人は生きるために食べなくてはならない。したがって、食べることは真剣勝負である。私が会社で新人の時、部の人は皆そろって駅地下の不味い定食屋に行っていたが、一人だけこのグループに入らず一人で食事に行く先輩がいた。私は先輩に「何で一緒に行かないんですか」と言うと、「人生は短いのに、あんな不味い昼食を食べているのは人生への冒涜だ」と返事をしたので、「私も連れて行って下さい」と彼と一緒に昼食をするようにしたことがある。その先輩はしばらくして会社を辞めたのだが、私はたかが勤務中の昼食でも、このメンタリティをしっかりと持って食事に臨みたいと今でも思っている。さて、孤独のグルメの主人公であるゴローさんも食べる(生きる)ことには真剣勝負である。ただ、基本的には自分でつくるのではなく、誰かがつくったものを食堂という場所で食するのが基本だ。したがって店選びがとても重要で、そして、その後はメニュー選び。この選択をするという行為をゴローさんは真剣にする。しかし、決して優柔不断でもないし、また選択する対象に対しては謙虚である。しかし、思えば、我々の人生は選択の連続である。その選択というスリルを食事を通して、我々に伝えてくれているのではないか、と思ったりする。そこが、この漫画の面白いところであると思う。
 さて、ただし、本作、一作目に比べると、ちょっとその選択が安易になりつつあるような印象を受ける。あと、落ちがほとんどの場合、食欲を抑えられずに「食い過ぎた−、げっぷ」で終わっている。これは、原作者もちょっとストーリーづくりに安易になってしまっているような印象を受ける。満腹というルール違反をせずに、しっかりとメニューを選択してくれるゴローさんの方が好感が私は持てる。


孤独のグルメ2

孤独のグルメ2

  • 作者: 久住 昌之
  • 出版社/メーカー: 扶桑社
  • 発売日: 2015/09/27
  • メディア: 単行本



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