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「椎名林檎と彼奴等がゆく 百鬼夜行2015」ツアーに行く [ロック音楽]

 椎名林檎を観るために神奈川県民ホールに行く。ツアー・グッズを買うのにいつも並ばされるので開演1時間前に行ったら、ほとんど並ばずに買えた。いつもは万単位のアリーナとかでやられるライブが、今回は2000席程度の神奈川県民ホールということもあるかもしれない。
 椎名林檎のホールツアーはどうも2003年以来だそうだ。ということで、私的にも初めての林檎のホールツアー。とても楽しみである。そして、なんと席は前から5列目。以前、1列目という時もあったが、その時は端っこだったが、今回はまあまあ真ん中の方。もう、これからの人生の運をすべて使い果たしたかのようなラッキーさだ。
 さて、わくわくしながら待っていると、会場が暗くなり、シルエットの向こうで花嫁姿の椎名林檎が「凡才肌」を歌う。私のように椎名林檎は天才だ!と安易に褒めちぎる人への非難のような歌詞に、思わずちょっと申し訳ないような気分になる。そして、シルエットが落ちて林檎が姿を現す。まるで九尾の狐が花嫁姿に化けているかのような怪しげな色気に満ちている。バックメンバーは浮雲と、そしてなんと東京事変の初代キーボーディストのヒイズミマサユ機。演奏するのは、疾走感溢れる「やさしい哲学」。次は、『日出処』から「いろはにほへと」。そして、「尖った手口」、「労働者」と『三文ゴシップ』の2曲を挟み、『日出処』から「走れわナンバー」。その後は、東京事変の『教育』から「現実に於いて、現実を嗤う」、「Superficial Gossip」、中田ヤスタカとのコラボ「熱愛発覚中」。この曲はキャリーパミュパミュの林檎風アレンジとも思われ、林檎の音楽の解釈力の凄さに感心する。そして「至上の人生」、「ブラックアウト」と繋ぎ、「迷彩」。これまでは東京事変以降の林檎作品だったので、とても嬉しく懐かしい気分にさせられたら、「罪と罰」。いやあ、心が震えるわあ。と感動していると、林檎は引っ込んで、浮雲が「セーラー服と機関銃」を歌う。なんだ、なんだ。しかし、多幸感に包まれているので、これもハッピーな気分で聴いている自分がいる。
 とはいえ、随分とリセットされた気分になっていると「Σ」、そして「警告」。いやあ、ロックだわ。その後は、また『三文ゴシップ』から「マヤカシ優男」。石川さゆりへの提供曲「名うての泥棒猫」、さらに「真夜中は純血」。レキシとのコラボ「きらきら武士」。浮雲とのやり取りが楽しい。次は、スマップへの提供曲「華麗なる逆襲」。ちょっとだらけた気分になってきたかなと思ったら「お祭騒ぎ」。いやあ、この曲はそれまで、そんなにいいとは思えなかったが、名曲だ。この曲は、バンド単位で演奏した方が、ノリが出てくると思う。バックには、今回のテーマの百鬼夜行の妖怪達が楽しげに踊っている。素場らしい。と感心していると、「長く短い祭」。あまりの素晴らしさに落涙しそうになるほど感動する。この曲、こんなによかったんだ。と、ほとんど魂が無防備になってしまったところに「群青日和」、「NIPPON」。もう、生きていてよかった、と思えるほどの三連ちゃん、というか「お祭騒ぎ」もいれれば四連ちゃんである。
 椎名林檎はやっぱりロック・ミュージシャンであることを改めて認識する。小さい箱でミニマムな単位で演奏すると、本当にその楽曲の凄まじさなどが伝わってくる。いやあ、もうお腹一杯、という中でアンコール曲は随分と渋く「逆さに数えて」。そして最後の曲は「虚言症」。なんで10代でこんな曲が作れたんだ、ということに改めて吃驚する。
 そういうわけで、精神が揺さぶられ、魂が抜けていくかのような2時間弱の時間を楽しめた。私はこれまで林檎の「林檎博08」がベスト・ライブかな、と思っていたが、今回のライブはそれをも上回るぐらいの大きな感動をいただいた。こんなアーティストが日本で生まれ、そして自分が日本人で、同時代に体験できている幸運に心から感謝するようなライブであった。

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