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リスボンはマドリッドと結ぶ、高速鉄道をつくることに反対した。大阪はこのリスボンの判断を参考にすべきであろう。 [グローバルな問題]

 スペイン国鉄はマドリッドとリスボンを結ぶ高速鉄道の計画を策定したが、リスボンは断った。これは、マドリッドの方がリスボンより「クリティカル・マス」、絶対的な規模が大きいため、ストロー効果でリスボンの活力がマドリッドに吸収されてしまうことを恐れたからである。
 スペインとポルトガルを一体として捉えれば、これは経済的には損失であるが、ポルトガルだけを考えると、この鉄道はプラスよりマイナスの方が大きいのでリスボンの判断はまさに正しいと考えられる。
 これは、ほとんどの地方都市に言えることで、地方都市という枠組みだけで捉えると、大都市と道路や高速鉄道が結ばれると、ほとんどの場合、地方都市はプラスよりマイナスの方が大きい。
 現在、東京が一人勝ちしているのは、ほとんどのネットワークが東京起点になっているからである。大阪が衰退を始めたのは、梅田(大阪)ではなく、新大阪に新幹線の駅を設置し、さらに東海道新幹線と山陽新幹線を直通乗り入れさせ、新大阪駅を通過駅としたためである。なぜ、東京駅では東海道新幹線と東北新幹線(上越新幹線・信越新幹線)を直通運転させないのか。東京駅で乗り換えさせているのか。それは、圧倒的な東京駅のハブ性を維持させたいからであろう。大阪はネットワークのハブ性を、新大阪駅を設置したときから失ってしまった。そうであれば、少なくとも新大阪駅周辺を大阪の拠点として開発すべきであったのに、それをせずにただのホテル街にしてしまった。非常に中途半端な状況を50年間も放置してしまったのである。
 リニア新幹線の停車駅も新大阪になるそうだが、私は大阪のことを考えれば、圧倒的に梅田駅にするべきであろうと思うし、そうでなければ新大阪を大阪の拠点とするような都市構造の改変をするべきであると思うのだ。ただ、現状の大阪駅の広大なる空地というポテンシャルを考えると、既に再開発の計画はできてしまったのかもしれないが、リニア新幹線の駅をそこにもっていくよう国やJR東海と交渉すべきであろう。
 リスボンの判断は、鉄道のネットワーク化は、そのネットワーク内の都市の序列化を促すということを我々に再確認させるし、それを最小限にするためには、そのネットワーク内でのハブ性を高めることが極めて重要であると思われる。ドイツの諸都市は多少、鉄道の運行時間に犠牲があっても、そのようなハブ性を維持するためにターミナル駅を維持しているところが多い(ミュンヘン駅、フランクフルト駅等)。
 日本の諸都市も、ネットワーク化は国全体の経済性を高めることにはなるかもしれないが、地方都市の枠組みではむしろマイナスの方がプラスより多いことに関しては自覚的になるべきだと思われるのだ。



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