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馬場正尊×藤村龍至「新しいパブリックをどうつくるか」のトークショーに行く [都市デザイン]

 私は滅多に講演会に行かないのですが、さすがに、馬場正尊×藤村龍至「新しいパブリックをどうつくるか」は拝聴しにいきました。どちらかというと、馬場さん目当てだったのですが、藤村氏の大学での行政と学生を巻き込んでのパブリック・スペースづくりの紹介に衝撃に近い、感銘を覚えました。藤村氏は、実は本を読んだりした限りでは、それほど凄いとは思っていなかったのですが、今日の話を聞いて思いを改めました。空間づくり、大学の教育の可能性の地平を広げる力と想像力とエネルギーを有している人であることが分かりました。彼のような考え方を若い人が多くすることになれば、このエセ民主主義の日本の公共性、空間性なども変われるかもしれないと希望が持てました。

 馬場さんは、私よりは5歳も若いですが、それでも世代的には近いので、藤村氏よりは、おじさんよりという印象を受けました。おじさんの革命児。革命児ではあるが、おじさんの範疇という印象です。藤村氏が徹底的にボトムアップの方法論に拘るのに対して、ついてこられない奴はいい、と捨ててトップダウンを志向する馬場さんは、まあその気持ちは分からないでもないですけど、都市計画のアプローチからするとあまりうまくいかない気がします。建築なら問題ないのでしょうけど。よほどのカリスマがあれば別ですけど、橋下さんほどのカリスマでも厳しいかもしれないと思う私がいます。ちなみに、うちの大学の教員はほとんどがこのボトムアップの大切さを理解しないので、何か新しいことをしようとしても誰もついてこなかったり、すぐに対立が生じたりします。私は生来、協調性がない方だと思いますが、都市計画を勉強してきたこともあって、市民参加はその内容よりも、決定した事項を支持させるための方法論であることが分かっていますので、そういうことを省略しようとする先生達には驚いてしまいます。案の定、全然、うまくいきませんが。特に統計とか数学の先生に、そのような協調を図る考え方が希薄な印象を受けます。そもそも、協働を図るうえでの事業のコンセプトの話をしても、コンセプトなんていらない、とか言いますからね。

 閑話休題。話が随分と逸れました。馬場さんが公共性という概念に思考を巡らすプロセスはとても面白くて、興味深いです。これは前著『RePUBLIC公共空間のリノベーション』でも十分に堪能できますが、話も面白い。特に「公共」とは「行政」という指摘は、正鵠を得ていると思います。しかし、果たして人々は「公共」を欲しているのかな、と疑問を持つ私もいます。「公共」に伴う「責任」を厭う学生達と日々、接しているからかもしれません。「公共」のつまらなさは、確かに行政管理が関係しているかとも思いますが、その「公共」を楽しもうという意識を持つ人は、選挙に行く人のさらに半分ぐらいかもしれないなと思っている私もいます。

 まあ、それはそれでいいと思います。「公共」を楽しみたい人が楽しめばいいことですから。大学教員ということもあって、藤村さんのアプローチには感銘を覚えますが、自分の現在の学生をみると、なんで藤村さんはあそこまで学生を動かせるのか、ちょっと不思議に思えます。もちろん、力の差とか思いの差なんでしょうが、いやはや素晴らしい。

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