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1996年の都市計画学会誌では既に「縮小都市」の特集が組まれていたという卓見に感心する [サステイナブルな問題]

 私の手元に日本都市計画学会の学会誌「都市計画」の1996年のno.199号がある。この号は「人口減少・家族変動下の都市・地域計画」が特集であり、担当は人口学の権威である慶應大学の大江守之先生である。さすが、大江先生は目の付けどころが優れている。1996年というバブルの余韻がまだ残っている中、人口減少についてすでに警鐘を鳴らしているのである。 
 「編集にあたって」に担当者の立場で次のように記している。

「2010年前後に日本の総人口はピークを迎え、以後減少に転じる。1985年から1990年の間に全市町村の60%が既に人口減少に直面しており、2010年に向けてその割合は上昇すると予想される。(中略)
 これまで、人口・家族(世帯)は、都市・地域計画を策定する上で不可欠な前提と考えられてきたが、それは主に増加する人口や世帯数の将来動向を見通し、それに対応するための市街地整備や都市施設整備を計画に盛り込むという文脈においてであった。しかし、人口が減少局面を迎え、また人口構造変化や家族変動が都市のあり方を規程する時代に入りつつある現在、都市・地域計画の枠組み自体を最高することが必要になってきている。」

 素晴らしい卓見である。この号が出てからほぼ20年。私が旧東ドイツの縮小都市政策を知ったのが2002年であるから、それからも13年近く。最近では増田元総務相の「消滅自治体」というスキャンダラスな本によって、急に慌てふためくように人口縮小が取り沙汰されるようになってきているが、人口の専門家からすると、もう20年以上前からこのような事態が生じることはわかりきっていたのだ。ところで、その人口の専門家でも日本の総人口のピークは2010年前後と楽観的であった。実際は、日本の人口のピークは2004年に迎えることになる。

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