SSブログ

【ユタ州の国立公園縦断ツアー10】ザイオン国立公園 [地球探訪記]

ユタ州の国立公園ツアーで最後に訪れたのはザイオン国立公園である。最後にして最もドラマティックで人気のある国立公園である。東側のエントランスから入る。このルートだと、国立公園に入ってすぐチェッカーボード・メサと対面する。チェッカーボードのような格子状の模様が入った巨岩である。なんで、こんなに規則的な模様ができるのか、不思議である。ザイオン国立公園の魅力は巨大な砂岩の岩塊による渓谷美であるが、その特色は色彩の多様さにある。特にバージン川の両側に発達した巨石群は、あたかもそれぞれの巨岩がファッション・ショーをしたかのように個性を競い合っているかのごとく、その「風貌」が異なる。これらは「寺院」(テンプルス)と呼ばれているが、私は三国志の将軍のような個性をそれぞれに感じるのである。ウエスト・テンプル、テンプル・オブ・シナワバ、キャッスル・ドーム、ザ・グレート・ホワイト・スローン、レッド・アーチ・マウンテン、アブラハム・ピーク、アイザック・ピーク、ヤコブ・ピークのスリー・パトリアーク(三大長老)、マウンテン・オブ・ザ・サン・・・・。こういう巨大なる岩石群の渓谷といえば、ヨセミテ・バレーの巨石群がすぐ頭に浮かぶが、ザイオンとヨセミテの違いは、ヨセミテはグラナイトの岩なのですべて灰色がかかっているが、ザイオンは砂岩の岩なので、色が本当に多彩なことである。そういう意味で白黒テレビとカラー・テレビぐらいの違いを私は感じてしまっているのである。もちろん、ヨセミテにはザイオンにないよさがあって、それは素晴らしい滝であるが、色彩という点ではザイオンの方に軍配があがる。

また、ザイオンに来るたびに本当に感心するのは、道路のデザインである。まず、舗装の色がザイオンの国立公園の岩のような赤茶色である。これだと、ザイオン国立公園の景観に溶け込み、アスファルトの灰色が目立つことはない。さらには、1930年につくられたマウント・カーメル・トンネルである。道路幅が狭く、トンネルの径も短い。大きめのトレーラーだと行き交いできないので、それが通過するまでトンネルの前で対向車両は待たなくてはならない。そういう意味では便利ではないのだが、このトンネルにはその不便さを有り余る風情というか魅力がある。ザイオンの景観を邪魔するどころか、むしろその演出に寄与するぐらいのお洒落なトンネルである。

さて、今日は一気にネバダ州にまで行きたいとは思っていたが、一つぐらいハイキングを楽しもうということでエンジェルス・ランディングに挑戦する。しかし、イースト・リム・トレイルとエンジェルス・ランディングとの分岐点において、そのあまりの急峻さにそれ以上行くのを諦める。とはいえ、ここからの展望も相当、雄大である。まあ、高所恐怖症にはしんどいかもしれないが、手っ取り早くザイオンのエッセンスを体感するには、このエンジェルス・ランディングもしくはオブザベーション・ポイント・トレイルがお勧めである。私は以前、ウエスト・リム・トレイルに挑戦したことがあり、その高台からのザイオンの嶺の雄大なる景観を楽しんだことがある。人が多い渓谷からちょっと足を伸ばせば、静かな岩の神々が戯れているような神秘的な空間が広がる。しかし、まあ、今回は時間がない。日が暮れる前にザイオン国立公園を出て、ちょっと頑張ってラスベガスまで車を飛ばした。ラスベガスの郊外のホテルにて宿泊する。

IMG_9422.jpg
(チェッカーボード・メサ)

IMG_9440.jpg
(トンネル)

IMG_9446.jpg
(道路は風景に合わせて茶色の舗装がされている)

IMG_9466.jpg
(ザイオン渓谷)

IMG_9496.jpg
(エンジェルス・ランディングのトレイルの途中からザイオン渓谷を望む)
nice!(1) 
共通テーマ:日記・雑感

nice! 1