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『フランク』 [映画批評]

 ミュージシャン希望のセンスがないSNS好きの青年ジョンは、ふとしたことから巨大な顔のかぶりものをした素晴らしい声と楽曲の才能を有しているフランク率いるバンドに加入する。フランクにはなぜか好かれるが、音楽センスのないジョンは他のメンバーからは嫌悪される。しかし、バンド活動を逐一、報告していたジョンのツイッターのフォロー数が増えることをきっかけに、バンドは大きなミュージック・イベントに参加することになる。天才ならではの繊細性を有するフランク。しかし、凡人であるジョンは、そういうデリカシーがない。デリカシーがないから、音楽センスもまったくないのだが。大衆音楽イベントの卑俗さに耐えられない他のメンバーはバンドを脱退。それでも、夢が実現できると思ったジョンは、無理矢理フランクを連れてステージに立つのだが、そこでフランクは自分の音楽を表現する場と、また他のメンバーという自分の音楽を具体化する仲間を失い、崩れ落ちる。
 フランクをはじめとして才能豊かなアーティストが、そのような才能を持たない一人のナルシストによってバンドを分裂させられ、また精神的に不安定な状況に追い込まれるというストーリーは胸が痛むが、こういうことはよくある。この場合は音楽だったが、他でもよくみられる光景だ。そして、ジョンのような才能のないナルシストには私は強い憤りも覚える。私の周りにもそういう人が多くいて、私はフランクよりフランクを支えていたキャロルのような対応をする。徹底的に排除しようとするところがある。なぜなら危険分子であるだけでなく、我々をも崩壊させる敵であるからなのだ。ただ、私のような対応を冷たい人間とか、才能だけで人を評価するなどと批判する人も多い。私の周りにもフランクのように、いろいろと才能のない人に機会を与えようと努力する人もいるし、そのような人の中には私が敬う人も少なくない。
 ただ、本映画はラスト・シーンは素晴らしい。ちょっと涙腺を刺激される。ラスト・シーンが結構、うまく苦々しい映画を良質なものにしている。


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