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『それでも恋するバルセロナ』 [映画批評]

ウディ・アレン監督の『それでも恋するバルセロナ』。本当のタイトルは『ヴィッキー、クリスティーナ、バルセロナ』。邦訳は相当、絶妙であると思う。アレンは、バルセロナをはじめとしたカタロニア地方の美しい景観を見事に映像に収めている。ランドスケープの美味さを映像に捉える点でいえば、『マンハッタン』、『ミッドナイト・イン・パリ』などでもうお墨付きであるが、その類い希なセンスは、バルセロナそしてカタロニア地方においても本映画で見事に発揮できている。やはり、アントニオ・ガウディの作品が多く背景に出てくる。その美しく魅力的な景観の中で、セクシーな女たらしの画家ファン・アントニオ、そして彼を取り巻くレベッカ・ホール、ペネロペ・クルース、スカーレット・ヨハンセン。ここらへんの三画、四角関係の複雑さにリリシズムと喜劇を注入させるのは、もうアレンの名人芸であり、この作品はとても面白い。というか、人生、本当いろいろと難しいよなと考えさせるのだが、それでも、鑑賞後、人生に肯定的な気分にさせるのは、アレン自身がそのような人生観を持っているからではないかと思わせる。あと、情熱的で紙一重の元妻を演じるペネロペ・クルースは、まさに適役で、彼女以外では考えられないほど迫真迫る演技だ。アカデミー賞助演女優賞を取るのも納得だ。傑作である。


それでも恋するバルセロナ [DVD]

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  • 出版社/メーカー: 角川映画
  • メディア: DVD



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